クリエイト速読スクール体験記 '20

二度の入会と文演

成瀬 仁人

Ⅰ.はじめに

 私がクリエイト速読スクール(以下、「クリエイト」と略記する)の存在を知ったのは中学1年の2月、父からの勧めを受けたことがきっかけでした。当時私は大学付属の中高一貫の中学校に通っておりました。大学の付属校であること、中高一貫校であることから、各学期末に実施される定期試験の結果の良否が高校進学や大学推薦に大きな影響を与えるため、毎回の定期試験で点数を取ることが必要でした。

 しかし、その当時、私は国語が苦手で国語が足を引っ張り、全科目合計の点数を下げるという状況に陥っていました。そこで国語力の向上を余儀なくされた私は両親に相談しました。すると、数十年前に社会人として働きながらクリエイトに通っていた父が、クリエイトの体験レッスンを勧めてくれたという経緯で私はクリエイトにお世話になることとなりました。

Ⅱ.体験レッスンと入会後について

 父の紹介を受け、体験レッスンに参加することとなった私は当初速読というものが分からず、困惑し、国語力向上のためのクリエイトの体験レッスンの受講が億劫になっていました。そんな中、いざ参加した90分のレッスンは3分間のカウント呼吸法という腹式呼吸の練習から始まり、受けたことのない数々の練習をこなしあっという間に終了しました。ただ、今振り返ると何故なのかはわかりませんが、速読という未知の世界に足を踏み入れ感動していた一方で、中学における部活動と学業の両立の上に、さらにクリエイトでの速読訓練というのは厳しいのではないかと入会することにあまり乗り気ではありませんでした。

 しかし、とりあえず入会してみたらという父の勧めもあり、クリエイトに入会しました。入会し、いざ通い始めた教室では体験レッスンでは行わなかった練習もたくさんありました。毎回ずっと同じことを繰り返し練習するわけではなく、違う練習が盛り込まれるため、私は毎回の教室が新鮮であると感じました。

 そんな数多くある練習の中で私が特に気に入った練習は、ロジカルテストとイメージ記憶でした。私がこれらの訓練が好きな理由は、ほぼ毎回のレッスンで行われるため、前回の自分と競い合っている感覚になる上に、自分の能力の向上を実感できるという点でした。特に、ロジカルテストは頭の中で一定のルールを適時に置き換え、そのルールに基づいて解答を作成していくという点において頭をフルに回転させて練習できたため、自分の身になっているということを実感できました。

 また、レッスンの終盤に実施する倍速読書訓練は当初は全く速く読めずに苦戦していましたが、レッスンの回数を重ねるにつれてコツをつかんでいき、次第に倍速であっても内容を読み取れることが増えていき、レッスンの成果と読書の面白さを実感できるようになりました。中1の春から高1の春まで、クリエイトに49回通いました。

Ⅲ.二度目の入会

 私は高校3年の7月にクリエイトに再入会しました。

 この時期、簿記の学習を行い簿記に関する自分の将来の役に立つ資格を取得したいと考えていた私は、大学の付属高校に通うため大学受験がないことが決め手となり、会計の専門職である公認会計士を志そうと決心していました。

 そこで、一度目の入会から既に2年が経過しておりましたが、膨大な範囲の公認会計士試験を効率的に学習して合格するためには速読訓練により、頭を柔軟に働かせ、論理的な思考力を養う必要があると考え、再入会を決意しました。

 公認会計士試験の受験科目は簿記や原価計算をはじめとする計算科目と監査論や企業法といった理論科目から構成されており、これらを効率的に学習する必要がありました。計算科目では仕訳や簿記一巡の流れを理解したうえで、問題文上で与えられる様々な資料を勘案して、問題で問われている解答を正確に計算し導く必要があり、高い情報処理能力と情報精査能力が求められます。

 そのため、計算科目向上のためには、問題を何度も反復し自分の中で一定の情報処理や情報精査に関する論理を設けて行う必要があると考えられます。この論理力育成に関してはロジカルテストが役立ちました。一方、理論科目に関しては各専門科目に関して膨大な量のページ数のテキストが何冊もあり、それらを本試験までに理解し暗記するためには、何度も何度も読み続けなければなりません。具体的には何度も高速でテキストの内容を確認するため、ひたすら高速で読み続けるのです。そこで、速読レッスンの倍速読書訓練が活きました。

Ⅳ. 文章演習講座について

 公認会計士試験の二次試験は論文式試験であり、所定の試験時間内に論述で各科目理論分野の問題の解答を作成しなければならず、問題の意図や作問者の意図を正確に読み取ったうえで、その問題の分野に関する自分が理解した内容が採点する作問者に伝わるよう解答しなければなりません。単に問題の内容の分野の理解ができていても、それを相手にわかりやすく伝える文章力がなければ、良い点数は獲得できません。

 私はかねてより知っていた文演を受講することで、文章力向上を図ろうと考えました。

 文演では、文章の基本的な構造の理解から、様々な文章に触れることを通じて、その文章のどこをたたき直すことで読者に伝わりやすい文章になるのかといった分析を行います。最終的には、今まで書いていた文章のどこがより良い文章になることを阻害していたのかを自身で分析することで、自分の文章の欠点や不足を自覚することができるようになりました。

 具体的には文章における内容の強弱とは文章の内容や構成により総合的に表現するものであること、ある内容について重点的に言及する場合などには一文ごとの長さを意識し、およそ一行を目途に文章を区切るなどという点です。

 公認会計士試験二次論文式試験における企業法では、一問につき20~30行にわたり、事例問題における法律的効力の適用の可否について述べる必要があります。法律的効力の可否についての結論(有効である、または無効である)に至る明確かつ論理的な説明を行わない限り、結論が作問者の作問意図に沿うものであったとしても、説明が明確でかつ論理的でなければ、点数は付与されません。

 文演での私の文章に対する改められた認識は、この企業法の試験において最大限発揮されました。文演受講後から論文式本試験までの約4か月間で、企業法の学習も文章構成をより意識したものとなり、結果的に論文式本試験において企業法は総合成績の稼ぎ頭となるくらいまで成長を遂げてくれました。

 論文式試験の学習をしていた私にとって、文演を受講し、自分の文章に不足している点を自覚できたことは公認会計士試験に一発で合格できた最大の要因であったと思います。

Ⅴ.最後に

 父から教えられたクリエイト速読スクールですが、自分の進路を歩むうえで必要な能力が身についたと確実に言うことができます。

 皆さんの中でも会計士受験という道を進もうと決めた場合、速読と文演という武器は必ず役に立ち、自らのステップアップにつながるはずです。

 松田先生をはじめ、スクールの先生方にはお世話になりました。

 ありがとうございました。