体験記

クリエイト速読スクール体験記 '89~'93

集中力の強化

立教大学文学部 心理学科  新井 博美

 速読という言葉を聞いて最初に思ったのは、「インチキくさい」ということだっだ。凡人が、ある一定の訓練をしただけで、たちどころに10倍や20倍もの速読力がつくわけがない、と思ったのである。しかし、クリエイト速読スクールに来て、松田さん(お互いサンで呼びあう風通しの良さがある)の話を聞いた時「ふむ、筋が通っている」と思った。ある絶対的な(絶望的な)水準があって、すべての生徒をそこへ向かわせようと躍起になるのではなく、個々人の現在の水準を認めた上で、それを2倍、3倍、5倍とステップ・アップしていくのだ、という言葉を聞いたからである。

 入ってみて、再びうなづいた。ここの先生方は、画一化した訓練法を高飛車な態度で教え込むのではなく、常に自らも勉強し、より良い訓練法を創り出すことに熱心である。その姿勢が、こちらにも伝わってきて心地よい。

 訓練法の一つとして、「イメージを湧かせる」というのがある(イメージ体験他)。イメージ体験というのは、非常に意義のある訓練で、一見、矛盾を感じるかもしれないが、集中力を促進する働きがある。『集中』というと、「神経の緊張」を思い浮かべることと思うが、過度の緊張は、かえって集中力を低下させてしまう。外界との間に不必要な壁を作り出してしまうからである。また、「文字を知覚させる」ということを、「読む」ということに変化させるのは、他ならぬイメージの力なのである。読む、すなわち理解することは、自分が著者あるいは主人公になって、同じ情景のなかに立つことである。

 その点、この速読スクールでは、『広く見ること』(知覚)の訓練と、『イメージにすること』の訓練、そして『書く』(イメージ読み訓練他)という作業によるイメージの具現化の訓練をうまくドッキングさせることによって、実に効果的に生徒の理解力を増強させていく。だから、最初壁に当たっても、それは、これらの歯車がちょうど良い具合にかみ合わさるのに時間がかかっているだけで、うまくそれらの歯車の大きさがそろい、かみ合えば、どんどん速読カは増すのである。

 速読をやるならば、認知科学的裏付けのある、着実な成果を肌で感じることのできるBTRメソッドを私は薦める。

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兄は、ここではおとなしい…

武蔵野音楽大学 ピアノ科  進谷 美保

 速読という言葉は、私が高校生の頃に知りました。まずは母が通信教育で始めたのです。本が速く読めるようになるなんてすごい、と思って私も始めたのですが、努力家でない私は、訓練、訓練という方法には耐えられませんでした。

 私はピアノをやっています。当然楽譜を読まなければなりません。しかし、譜読みの力が私にはなく、新しい曲を見るたびに苦労していました。新しく与えられた楽譜をみてすぐ歌う「初見」という科目も大の苦手でした。ですから本を速く読めれば、楽譜も速く読めるはずだ、と思ったのです。でも、長くは続きませんでした。教室に通えばむりやりにでもできるかもしれないと思ったのですが、福岡では信頼のおけそうな教室はありませんでした。その後も速読の本や、体験記などを読みましたが、最初にあまり面白いものではない、という印象があったので、大学一年の春休みまでは再び始めることはありませんでした。

 大学一年の春休みに、何かをしよう、と思って、速読をすることにしたのです。なぜなら楽譜は難しくなる一方で、私の「初見」の力は良くなるどころではなかったからです。通うなら近いほうがいいと思い、以前から目をつけていた「クリエイト速読スクール」の説明会に行ってみようと最初は軽い気持ちでした。

 そこでは、私が以前通信教育でやったこととはまるで違う印象を受けました。訓練というよりは、一種の「遊び」でおもしろそうだ、やってみよう、と思ったのです。家でやることは本・新聞・雑誌を読めばよい、というのも何て私にピッタリなのだろう、と思いました。唯一同じなのは、腹式呼吸でした。深呼吸というのは何においても大切なものだ、とそのとき感じました。私はよく腹式呼吸をします。緊張したときや、疲れたとき、無意識のうちに深呼吸をしているのです。教室ではまず始めるまえに「カウント呼吸」なる腹式呼吸をするのでいつも良い状態で速読の訓練を受けることができました。

 何週間か通っているいるうちに、面白いことに気がつきました。「初見」のために通っていたのに、なぜかまず暗譜が速くなりました。意識的に目で見たものを覚える、という訓練はやっていないはずなのですが様々な訓練をやっているうちに、本が速く読めるようになっただけでなくピアノにも良い影響が出てきたな、と驚いています。

 教室の良さは? と問われたら「みんなと一緒にやる」ことに尽きるといってよいかもしれません。家で一人でやるのと、よい意味で競う相手がいるのとでは、やる気が全然違います。知らない人でも、自分よりページ数が多かったりすると、やっぱりはりきり方が違ってきます。

 最後に、ここに入学した兄(潔)のことを書きます。高校生の時にアメリカに留学していた兄は、受験に失敗していました。一浪のとき、他で一度速読をやったことがあるそうです。途中でやめてしまった理由は「目をつくるまで来ないで」といわれたそうです。わけのわからないことをいわれてやめた兄は、速読に不信を抱きここに入ることもずいぶん渋りました。両親の説得もありここへ入りました。

 おかしいのは、何にでもダイレクトに発言する兄がここではおとなしく真剣に訓練に励んでいることです。そのかいもあってか、めでたく、上智大の比較文化学部に入学しました。

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幻想を棄て集中の大切さを実感

早稲田大学政治経済学部 経済学科合格  岩佐 朝

 何のために速読を始めたのか。この答ははっきりしている。即ち、本を速く、そして、たくさん読みたかったからだ。しかし、当時、大学受験生だった私の場合、必要としている本はある程度限定されていた。それらの本では、読んだ量ではなく理解の探さと内容記憶の正確さが要求されていた。それにもかかわらず、なぜ速読を選んだかというと、いくつかの理由がある。その一つに速読にまつわるある種の幻想があった。「一目で一ページを写真のごとく頭の中に記憶できる」と言った類のものだ。もちろん、私だってそのような宣伝を鵜呑みにしていたわけではないが、テレビでの実演を見たり、数々の本で体験談などを読むと、まっこうから否定はできなかった。興味を持ってはいたものの、金を出してまで練習してみようという気にはならなかった。

 しかし、入試が近づくにつれ、勉強の遅れが気になり出すと、藁をもつかむ気持ちでクリエイト速読スクールに入会した。練習を数ヶ月続けたが、たいした効果はなかった。一目で一ページを暗記することなど私にとっては幻想であることを再確認したにすぎなかった。ここで、私はあえて幻想という表現を使った。反論のある人がいるかもしれないが、私にはこの言葉が世間の速読観を適切に表わしていると思う。実際、私が友人に速読を勧めたところ、彼に、ある本の一ページを一分間で暗記する実験をさせられた。無論、私は出来なかったので、速読がインチキだといわれた。

 この時点で、私は一ページ瞬間暗記などの能力を速読に求めるのを諦めた。それには、自分の能力の欠如を自覚したこともあるし、また、たとえ、努力次第で可能であるとしても、入試を目前に控えた私にはそこまで入れ込む時間はなかった。

 そこで、スピードよりも理解を高めるように努めた。というのも、実際の入試で課せられる量は、長めの論文試験でさえせいぜい十ページ前後であり、英語・現代文にいたっては二・三ページがいいところだ。そして、現代文について特に言えることだが、難解な文章をいい加減な理解で四、五回読み返したところで論点が押さえられるはずもなく、試験場でそういう読み方をした場合の危険性は、自分自身、充分承知していたからだ。

 理解力を高めようとしていくうちに、そのためには一定時間の集中が必要だと気付くようになった。同時に、集中を高めるためには雑念を取り払う努力をしなければならないことと、頭を充分休める必要があることが分ったのだ。その結果、今までの訓練をどれほどいいかげんにやっていたかと自覚するに到った(講師のアドバイスはよく聴いた方がよい)。

 それからは、週一・二回の訓練を九十分の限られた時間、集中する場として活かそうとした。九十分というのは入試の制限時間とも、ほぼ同じだったからである。また、試験勉強で疲れたとき、気分転換の意味もあった。どういうわけか知らないが、知識の詰め込み作業のために疲れていた頭が、訓練の後にはすっきりすることがあったのだ。

 入試直前には訓練に通わなくなったけれども、試験の最中に訓練で学んだ頭の切り換えを心がけた。つまり、試験前や休憩時間には音楽を聞いたりしてなるべく頭を休ませるようにして、試験中はとにかくがむしゃらに問題に取り組んだのだ。そして、一日の試験が終わると頭が朦朧としている状態だった。

 結果的に、一ページ丸暗記や、数分で一冊完読などの能力を身につけることはできなかったが、大学入試という、速読を始めた目標は充分に達せられた。だからといって、自分の今の能力に満足しているわけではない。これからも、出来るだけ様々な書物を読めるように努力してゆくつもりである。だが、幻想と現実を峻別し、自分の必要としている実際的な能力の獲得を目指そうと思う。

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読書に必要な能力をバランスよく強化

新日本製鉄(株) エレクトロニクス・情報通信事業本部勤務  山田 英二

1.クリエイトへの入会理由
(1)速読能力向上のニーズ

 そもそも私が速読訓練を始めようと思ったのは、今から1年ほど前、MBAを目指し米国留学準備を始めた時であった。以前留学していた時、一番苦労したのは予習のための膨大な読書であった。特に一流のビジネススクールでは、アメリカ人の学生でさえ読み切れない量の宿題を毎日与えられるため、本気で勉強を始めたら、大抵の日本人留学生は慢性的睡眠不足に陥り、休日に外出する余裕もない。そうした努力にもかかわらず、落第する日本人があとをたたないのが実情である。(特に私の行く予定のハーバード大学は、悪名高い。)しかも、ネイティブの毎分500語に対し、私の200語弱の英文読解スピードでは、苦戦は目に見えている。そこで私は、単に目先の入学試験(TOEFLやGMAT等)だけでなく、実際に入学後に役立つ英文速読能力を高めるトレーニングを開始した。

(2)速読との出会い

 最初はいわゆる正攻法で、「とにかく沢山の英文を読む」こととし、ペーパーバックや週刊誌を買い漁ったが、ただ漠然と読んでいても短時間でスピードが倍になる気はしなかった。それどころか、時がたつにつれて根気が続かなくなり、数ヵ月後には読みかけの英書が机の上に山積みになり、暗澹たる気持ちになった。そこで今度は、より効果的な方法を見出そうと、流行の「速読術」に関する本を数冊読んでみた。多少の違いはあったが、どれも速読を可能にする科学的トレーニングの存在を示唆するものであったため、迷わず「この手」で行くことにした。もっとも、私が素直に「速読術」を受け入れたのには訳があった。今から十数年前、私が高校生の時に、興味深い体験をしたことがあった。当時英語の好きだった私は、タイプを習うために英国から輸入された最新式のタイプ学校に2週間通ったことがあった。
 1日1時間の練習で、しかも自宅練習禁止というかなりユニークなカリキュラムであり、遊び感覚で過ごした短い期間であったが、それからしばらくブランクがあったにもかかわらず、6年後の留学時やワープロを始めた今日に至るまで、当時身に付いたブラインド・タイプは衰えることがなかった。いわゆる科学的メソッドに感銘を受けたのはそのときが初めてであったが、惜しくもドーピンクで失格になったものの、ソウルオリンピックで世界記録を打ち立てたランナー、ベン・ジョンソンの科学的トレーニングにも共通点を見る様に、ただがむしゃらな努力だけでは非効率的なことは、様々な分野において既に常識となっているように思う。私にとって「速読術」は、いわばタイプに次ぐ二匹日の鰌であった。

(3)クリエイトを選んだ理由

 とはいうものの、高い授業料を払い所定の時間にわざわざ遠いところまで通うのもしんどいと思い、市販の教材(「キム式英文速読法」)で独学を始めてみた。内容は、呼吸法による集中力強化と眼球運動シートによる視野拡大が中心になっており、ほとんど頭を使わない簡単なものであった。成果を見極めるべくテキストに完全服従することに決め、30日間毎朝かかさず45分間トレーニングを続けてみた。結果は、速読法への可能性に対する自信を深めたものの、スピードの飛躍的向上は見られなかった。この時の反省から、単に目の筋肉運動に留まらず、読解のメカニズムに迫る、より実践的・知的トレーニングに取り組むべく、また、独学ではなかなか維持できないテンションを集団の中で高めるべく、「速読教室」に通うことにした。クリエイトは、通勤途中たまたま前を通りかかり、置いてあったパンフレットを手にしたのが縁で、その後体験教室を経て正式に入会することとした。

2.クリエイトでの体験について
(1)カリキュラムについて

 クリエイトに入会することとした一番の理由は、その多様なカリキュラムの内容と豊富なトレーニングデヴァイスであった。体験教室では何のためのトレーニングかよくわからなかったが、とにかく訓練の種顆が多く、90分があっという間に過ぎていたので、これなら長く続けられると思った。クラスは毎回呼吸法の訓練から始まり、パターンシートによる視野拡大訓練、文字認知訓練、イメージ記憶訓練、イマジネーション強化訓練、実際の読書による倍速読書訓練など、おおよそ読書・読解に必要な能力を単独または複合させながら、バランスよく強化できるよううまく構成されている。回数を重ねるごとにそれぞれのトレーニングの持つ意味合いが分かるような気がしてきた。あらためて「読書」という人間の精神的肉体的活動を、その要素レベルから考えさせられた。その上、常に新しいトレーニングが追加され、改良が繰り返されていることから、カリキュラムに対するクリエイトの真剣な取り組みと自信を推し量ることができた。

(2)教室の雰囲気について

 私がこれまで興味を持ってトレーニングを続けることができたもう一つの理由は、教室の雰囲気であったと思う。講師の方々はあるときはまた生徒ともなり、教室は「みんなで道を極めよう」といった、自由活達な空気で満ちている。また、毎回といってよいほど、メンバーが入れ替わることも、空気を新鮮に保つうえでプラスであった。

(3)今までの成果について

 クリエイトに通い始めてからまだ20回にも満たないが、最近読書感覚が変化してきたことを実感できるようになった。従来は、本を、文字単位の「点」の塊といった感覚で字を追ってきたが、次第に「線」そして「面」感覚でながめることができるようになってきた。この結果、英文でも、一行まるまる目に入ってくるようになり、多少不安定さはあるものの、当初目標である2倍以上のスピードで読むことができるようになってきた。

(4)短い間ではあったが

 期待以上(実はダメモトで入会した)の成果が得られ、大変感謝している。こんなことだったら、もっと早くから始めていればよかったと思う。そうすれば、長文で苦しんだ共通一次試験(GMAT)も、もっと楽に好スコアを出すことができたかもしれない。しかし、渡航直前とはいうものの、滑り込みセーフで何とか速読のきっかけを揃まえることができたのは、今後の留学生活にとって大きなアドバンテージになることと確信している。無事MBAを取得できたら、またクリエイトにお世話になりたいと思う。

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時間活用法や文章の書き方にもヒント

日本板硝子(株) 海外部勤務  田中 裕也

1.クリエイトヘの入会理由
(1)業務上の必要

 会社では海外プロジェクト(現地生産、プラント輸出、技術提携)の担当部におり、大半はデスクワークであり以下の能力が要求される。

  1. 速読速解
     多くの和文英文のレター・報告書・新聞・関連図書を読み、理解・判断する。
  2. 速聴速解
     日本語・英語での会議・打ち合せ・来客・電話を処理する。
  3. 整理分類
     多岐に亙る資料を取捨選択し整理整頓・分類する。これにも時間は掛けられない。
  4. 迅速明解に表現
     情報は行動に結びついて初めて価値を持つ。日本語・英語での報告書・資料作成もタイミングが重要。

 職場での年数を重ねるにつれ要求される質・量の水準も高まってきた。以上の4動作のスピードアップが切に望まれていたが超えるべき壁は厚く、有効な対策を見つけだせないでいた。

(2)速読へのアプローチ

 留学準備のテーマ探しに思案していた時期、書店でブルーバックスの「速読の科学」を手に取る。その後新書のハウツーものを中心に約20冊の速読関係の書籍に目を通す。これにより以下の情報を得た。

  1. 読書行為についての一般的な把握・分析の方法(読視野、停留時間、逆行等)
  2. 各種速読法と速読業界の現況
     百家争鳴のようだが羊頭狗肉である点。訓練の効果については、相当の誇大広告もあり、訓練の効果と派生的な要素を混同しているものもある。準拠している理論・学術の出展が不明確なものもある。

 ハウツー本のアヘン商人的語り口を冷静に取り除いてみて、前述したような自分のニーズに適したテーマであると判断し、速読教室探しに着手した。都内の各校を片端から訪問した後クリエイトに決定した理由は以下の通り。

  1. ア.教授法に独自牲があると思われた事。
     (いわゆるキム式速読法の換骨奪胎版という教室がいくつもあった。実用新案出願の実績も考慮)
  2. イ.無味乾燥な記号攻め・児童書攻めにしない。
  3. ウ.費用がリーズナブル。
  4. エ.平日の夜遅くと土曜日曜に授業が受けられる点。
  5. オ.資料・説明が過不足なく、主催者の考えが理解し易かった点。
  6. カ.成果のチェック・進度の管理がしっかりしている。
  7. キ.教室の規模・受講者数が適正。
2.私の受講法。
(1)短期集中で速効を狙う。

 私の場合、留学前に一区切り終えて一定のレベルに達しようと考えているので、週3回のペースで通っている。短期間であれば、飽き・他の教材への誘惑も起こり難いし、生活の中心に受講を据えるのも容易。

(2)『速読トレーニングブック』の併用

 各訓練の狙いを明確にして授業に臨むべく、日本能率協会マネジメントセンター刊行の『速読トレーニングブック』の解説を繰り返し読んでいる。参考文献もできるだけ併せ読む。

(3)腕時計を買い換える

 ストップウォッチ機能・タイマー機能のついた腕時計を買い、職場や空き時間に練習できるようにしている。

3.いままでの効果
(1)訓練中の後戻り・迷いの減少

 「字面」の読書から「内容」の読書への発想の転換と読書動作の変化が感じられた。

(2)読視野拡大の実感

 これはハウツー本での独習では全く感じられなかった。特に『速読トレーニングブック』での両目の相補的働きについての指摘は興味深い。焦点をぼかすことなく自然な視野拡大が図れるような感覚がある。

(3)映像体験の再評価

 元来、私は活字に縁遠い映像メディア愛好者と自覚しており、映画と写真に一時非常に没頭した。自分の内部では、この体験は本校のイメージ能力関連の訓練と関わりがあるように思われる。特にテレビ・ビデオの鑑賞よりも映画館で音と映像に浸る体験や写真家のつもりで構成を考えるのが有効だと思われる。かくいう私はテレビを持っていない。読む行為と映像体験の連関が体験を通じて意識できたことに多少の知的興奮を覚えた。また、他の分野でのイメージ・トレーニングに対して真面目な問題意識を持つことができた。

(4)細切れ時間の活用の意識と意欲

 短い時間の活用について以下のような意識の変化と成果を得た。これだけでも10数冊の能率術ハウツー本に劣らない価値がある。

  1. 倍速読書・速読読み切り訓練で得た、短時間に人間は多くの処理が可能という実感と自信。
  2. カウント呼吸法の応用による集中。特に気持ちの切り替え効果。
  3. 教室における「分刻みの緊張と弛援」
  4. 自律訓練法等他の集中術への関心を深め、「内部からの時間活用」を図る意識。
(5)文章作成のヒント
 速読体験を通じて、読み易く判り易い文章を書く意識や以下のようなヒントを学んだ。
  1. 平易な日本語に徹する。(難解な用語・一般的でないカタカナ語の使用はやむを得ない場合のみ)
  2. 代名詞の指示対象を明確にする。出来れば代名詞を使わず指示対象を反復する。
  3. 文は短く、文章のまとまりは小さく、一内容一単位とする。
(6)自分の読書傾向・問題意識の確認

 読書速度と理解度は書物の内容による変化が大きいことが分かる。これにより、気付かなかった自分の関心の偏りや問題意識の所在がある程度掴めた。

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本を読んでも疲れなくなった

(株)熊谷組 建設本部勤 小沢 清彦

1.動機
  1. (1) 自分の今までの読書法への基本的な疑問。
    (本を読むとすぐ疲れるのは、恐らく今のような読み方が脳の生理にあっていないのではないか)
  2. (2) 情報処理能力の向上により、生活にゆとりが生まれることを期待。
  3. (3) 情報社会は、様々な情報ツールをもたらしたが、それを使う側の情報処理能力が未開発のままでは、宝の持ちぐされになってしまうと感じた。
  4. (4) 情報の選択ということの重要牲はよく言われるが、選択の幅は、情報摂取量に比例するわけで、基本的には、大量の情報を一旦は受け取らなくてはいけない。
2.なぜBTRメソッドを選んだか
(1)教室に来る前に、本でBTRを知り、理論と訓練に魅力を感じた。
  1. 私の理論では、文字を「視て」、「読んで」、「理解する」という三段階を、「視て」、「理解する」という近道にきりかえることが速読の一つのコツだと思うが、このきりかえを遊び感覚で行なう訓練がBTRには用意されている。
  2. BTRメソッドの構成と私が得た効果
    「サッケイドシート」--眼精疲労の低下
    「ランダムシート」--モノに対する気づきを意識化する能力の向上。
    「パターンシート類」--仕事上建築の図面を見ることが多いが、パターン認知能力の向上が仕事面に役立っている気がする。
    「イメージ記憶訓練」--集中力の向上、年齢とともに低下するものだといった記憶力に対する観念が変わった。
    「倍速読書訓練」--文字に対するこだわりの減少、読まなくても解るという実感を味わうことが最近増えてきた。
3.今後の課題

 「倍速読書訓練」の中で最近気づかされる読まずに視て解ってしまうという読書スタイルを定着させたいと思う。この読み方は、これまでの自分の読書法にくらべて次の点で優れていると思われる。

  1. (1) 目が疲れない.
  2. (2) リラックスして読める。(逆に言えば、リラックスしないと読めない)
  3. (3) 本に対して、今まで持っていた拒絶惑が減少する。
  4. (4) 読書欲が自然の欲求として増大してくる。
  5. (5) 訓練によって得られる効果として、自然に読書のテンポが早まり、それが苦にならない。(年間、10冊位しか読まなかった自分が、あるときひと月に何冊読んだか記録してみたところ、20冊を超えていた)とりあえず重要なのは読書速度ではなく、読書量である。
4.最後に☆BTRで速読を学ぶ上での注意☆

 ひと月の、消費支出のうちで、書籍費にかかる金額が知らないうちに増大し、家計を圧迫する恐れがあるのでくれぐれもご用心。また、軽い雑誌はコンビ二等での立ち読みですむようになってきた。