体験記

クリエイト速読スクール体験記 '12

クリエイトは他のどんな勉強よりもなくてはならないものであった

平成23年度司法試験合格  室岡 裕美

1 はじめに

 「受かってる!」

 2011年9月8日、霞ヶ関の法務省前に設置された司法試験合格者発表掲示板で自分の受験番号を見つけました。合格したことが信じられず、手元の受験票の番号と掲示板の番号を何度も何度も見比べ、知らない人に「私の番号ありますよね」と一緒に確認してもらう始末でした。しばらくして、受かったんだという実感がわいてくると、喜びがこみ上げてきたのと同時にそれまでの受験生活の緊張がとけてホッとして、涙が止まらなくなりました。

 無事合格が確認できたので、まず家族に報告し、続けてクリエイトにも電話をしようとして、池袋は霞ヶ関から丸の内線で一本で行けるので行って報告しよう、と思いつきました。うれしい気持ちでいっぱいのうちに直接会ってお礼を言いたかったのです。

 クリエイトに着くと、桑田さんと鈴木さんがいらっしゃって、合格を伝えることができました。松田さんにお会いできなかったのは残念でしたが、直接会って自分の喜びをクリエイトに伝えることが出来たので満足しました。

 松田さんからはその日の夜にメールをいただきました。松田さんからのメールは「Hさん、おめでとうございます」という、いかにも松田さんらしいメッセージだったのでうれしくなってすぐに返信しました。その日のうちに松田さんにも合格を伝えることができたので本当によかったです。

 2011年、合格に向けて絶対守ろうと決めた3原則は、①クリエイトに通うこと、②教材を絞り込んで繰り返すこと、③早起きすることです。クリエイトは他のどんな勉強よりもなくてはならないものであったし、1回目の新司法試験で無事に合格できたのもクリエイトのおかげです。松田さん、スタッフの方はもちろん、クリエイトを紹介してくれて一緒に通って励ましてくれたPさん、常にクリエイトに通うように強制して尻を叩き続けてくれた夫には、とても感謝しています。

2 クリエイトと出会うまで

 私は大学卒業後、百貨店に入社して社会人として働いていました。大学は文学部で法律とは縁がありませんでしたが、仕事の上で法律に接することがあり興味を持ち始め、独学で勉強を始めたのがきっかけで、司法試験を受け法曹をめざそうと考えるようになりました。

 2009年4月に法科大学院に入学する前は、旧司法試験にもチャレンジしました。しかし、何度受けても論文試験の前段階である択一試験で不合格。司法試験の山場は論文試験なので、戦いの土俵にも乗っていません。一生懸命勉強してたくさん法律知識を身につけているのに、なぜ択一試験にすら受からないのだろう、何が足りないのか分りませんでした。自己流の勉強をしていたので、法科大学院で法律を基礎から学び直したいと思うようになり、2008年5月の択一不合格を最後に旧司法試験の受験は辞め、その年の6月から法科大学院に入るための勉強を始めました。そして、初めて自分に足りないものに気づいたのです。

 法科大学院入試では、適性試験を受けなければなりません。これは、論理パズルのようなもので、短時間に長文の読解をしたり、複雑なパズルを読み解くなど、高度な事務処理能力が問われるものです。「適性試験はあまり勉強しなくてもなんとかなるよ」と先に法科大学院に通っている友人には言われましたが、適性試験の問題集を買ってきて解いてみて、自分は全然なんとかならないことに気づきました。適性試験=高度な事務処理能力=法曹としての適性であり、私はこの能力に欠けていたのです。旧司法試験の択一試験も一見法律問題のようですが、単純な法律知識を問うものではなく、論理的な思考がなければ時間がかかったり、問題を読み解くことができないようになっています。法律知識ではないところの勝負で負けていることに気づいたのです。

 私の夫は理系出身で、法律の知識は全くないのに、以前旧司法試験の択一のパズル問題を解けたことがあり、悔しかったことがありました。法科大学院の適性試験も夫にとっては簡単らしく、パズルもらくらく解くことができました。毎日会社から帰ってくる夫を待ち構えて、昼間解けなかった問題を教えてもらい、あまりの出来なさに泣きながら適性試験の問題集をやりました。

 適性試験の特訓をしてもらっているうちに、夫から私は文章を読むスピードがものすごく遅いと指摘されました。文章を読むスピードが遅いと、思考を整理するスピードも遅く、複雑なものを処理しきれなくなって理解ができないのです。夫はたまたま速読に関する本を持っていたので、それを読んで速読ができるように練習しました。また、新聞の社説欄のタイトルを隠して1分くらいで読んで、この文章にどんなタイトルが付いているか当ててみる、など自己流の速読トレーニングを始めました。

3 クリエイトとの出会い

 6月に必死で適性試験を乗り越えて、速読をはじめとする論理的思考こそが自分に足りないものだと痛感していた7月ころ、旧司法試験で一緒にゼミをしていたPさんと会う機会があり、クリエイト速読スクールに通っているという話を聞きました。速読スクールに通うということは考えてもみなかったので、どこでどんなことをやっているのか、速く読めるようになるのか、など私は興味津々でいろいろ尋ねました。するとPさんは、「クリエイトは体験レッスンもできるから申込んでみれば?良かったら次のレッスンに一緒に行こう」と誘ってくれたのです。私は早速、体験レッスンの申込の電話をしました。Pさんも通っているので、ちゃんとしたスクールだろうという安心感はありましたが、一応申込みのときに、「体験レッスンをするとお金を取られたり申込みを強制されたりしませんか」と確認しました。電話の相手の方には(今から思うと多分松田さん)、「お金を持ってこないでください。持ってきてもらっても困ります」と笑われました。それで、ますます安心して体験レッスンに行くことにしました。

 クリエイトの体験を受けると、1分、3分、と短時間で次々とトレーニングのメニューが変わり、内容も難しいけれどつい一生懸命になってしまうような充実したもので、90分はあっという間でした。これを続けると頭の回転もよくなりそうと感じました。

 ますます速読に興味をもち、体験レッスンの帰りにそのまま池袋リブロの速読本コーナーに行ってみました。すると、今レッスンしてきたクリエイト速読スクールの本が売っており、ちょうどやってきたばかりのレッスン内容が本になっているものが売っていたのです。9月の法科大学院入試が終わるまでは忙しかったので、しばらくこの本を買って自分で練習してみようと思い、その日から毎日家でトレーニングしました。

 9月に法科大学院に無事合格できたので、2年後の司法試験に向けて10月から速読スクールに通い始めました。はじめのころはPさんと待ち合わせして、ランチをして一緒に受けたり、トレーニングの内容について相談したり、楽しく続けることができました。

4 クリエイトでの成長
  1. (1) 通う習慣

 クリエイトを始めた頃は、どんどん時間短縮したりレベルアップするので、やればやるほど面白い。もともと負けず嫌いな性格なので、できないトレーニングがあると家で練習してレッスンに臨むなど必要以上に一生懸命でした。

 だんだん慣れてくると、自宅から池袋までは遠いので行くのはめんどうだな、通う時間がもったいないので法科大学院の定期テストの前などは家で勉強したほうがいいのではないか、と思う日もありました。そういうとき夫は「勉強するくらいなら速読に行った方がいい」「どうせ知識を詰め込んでも受からないよ。受かりたかったら速読にいきなさい」と尻を叩くので、受かりたい一心で速読に通いました。

 速読を続けるうちに、忙しくて勉強しなければならないときほど、まずは速読に行って一週間効率よく勉強できるように頭を動かそうという意識ができてきました。勉強の調子が上がらないときやうまくいかないときほど、焦って勉強にしがみつくのではなく、速読のレッスンに行った方がその週の効率や勉強の調子が良くなるのです。いままで、法律の勉強は旧司法試験時代にたくさんやってきて、足りないものはとにかく速読の能力なので、速読に通えば受かる、速読に通わないでまた知識を詰め込む勉強だけだとダメだ、と信じるようになりせっせと通いました。

  1. (2) 伸び悩む時期

 このように速読に通う習慣はできたのですが、レッスンの回数を重ね60回~70回目くらいになると速読がつまらなく感じるときがありました。毎週来ても、数字は伸びないし、ロジカルなどのレベルアップもしないうえ、毎回同じメニューで、もうこれ以上伸びないのではないかと思いました。そんなときに、堂園さんのレッスンがありました。堂園さんは、いつもトレーニングのときにいろいろなアドバイスをしてくださるのですが、それがその時々の気分にあっていてやる気が出ます。このときは、「もう無理だと思う以上に頑張る」「限界のさらにその上まで頑張る」というアドバイスでした。私はこのとき、ああ、自分は勝手に限界を作ってあまり頑張らなくなっていたのだなと気付いて、それからはこれ以上は無理だと思うそれ以上を目指してトレーニングを頑張るようになりました。そうするうちに、ロジカルも念願のDにレベルアップし、時間も短縮されるものが増え、記録が伸び始めたのです。記録が伸びるとまたやる気が出てきました。

 クリエイトのレッスンのすごいところは、一つクリアしてもまだ難しいレッスンがあるところです。もし能力の高い方がいらっしゃっても、クリエイトはさらに難しいレベルのレッスンが用意されているので安心して全力で能力を伸ばしていけると思います。

 自分より難しいレベルのレッスンをしている人を見つけると、どんなふうに見えているのか、と聞いたりしました。レッスンに通っていると、自宅のレッスンと違い、速読のコツをスタッフの方や他の受講生に尋ねることもできるのでいいなと思います。

5 文演に参加

 そのようにして速読トレーニングに通いながら、法科大学院での1年目が過ぎました。ただ、ときたま松田さんに勧められる文演だけは申込みませんでした。旧司法試験での択一試験の惨敗経験から、法科大学院ではとにかく択一ができるように頑張ろう、論文をやらないようにしようとしていました。文演は論文に役立つものであって、その時の私には余計なものだと思っていたのです。松田さんにも「文章は得意だから」と適当に断って、文演はやろうとしませんでした。

 そんな私が文演をやることになったきっかけは、法科大学院での1年目の終わりころ、学校のテストで白紙答案を出してしまったことです。ショートテストという10分で事例を読み解き解答を書くというテストだったのですが、事例の登場人物が10人近くいて混乱してしまい何も書けなかったのです。そのころ、勉強の調子が悪いときは、松田さんをつかまえてアドバイスをもらったり、愚痴を言ったりしていました。このときも、どうしよう、文章が理解できないと焦って、また松田さんに相談しました。松田さんからは「それは文演ですよ」とあっさり言われ、その日のうちに文演に申し込みました。今から思えば、ちょうど司法試験本番の1年前で文演に申し込めたのは本当にラッキーだったと思います。

 文演は、文章の読み方、書き方だけでなく、ものの考え方、整理の仕方も学べます。文演を学んだことで、より論理的に考えることができるようになりました。本当に伝えたいこと、必要なものは何かを見きわめ、意味のわからない言葉でごまかすのではなく文章の精度を磨くことは、文章を書いたり読んだりするときだけではなく、日常の生活の思考方法にも役立ちます。勉強の計画を立てるときも、無駄なものはないか、真に大事なものはなにかを考えるようになり、やるべき大切なことから逆算して論理的に計画を立てられるようになったと思います。

 また、毎回文演に参加している方々と一緒に帰って、どうして速読を始めたのか、どんな仕事をしているのか、速読をどんなふうに活用しているのか、など話を聞くことで自分のモチベーションを高めることができました。

6 直前期

 そのようにしてクリエイトと法科大学院に通う生活が過ぎ、ついに本試験まで半年となりました。私は最初に掲げた「①速読に通うこと」は合格の絶対条件だったので、怠けずに通える方法を考えました。そこで、法科大学院3年後期の最後の授業のカリキュラムを決める際に、毎週金曜日の授業の合間に速読に来ると決めました。具体的には、金曜日の午前中は法科大学院で授業を受け、12時に授業が終わるとすぐに池袋に移動してクリエイトで速読を受けます。そして、速読が終わるとまた法科大学院に戻って、夕方16時からの授業を受けるという具合です。このように時間割に速読の時間を組み込むと、毎週必ず通えるし、休日に自宅から池袋に行くよりも時間短縮になり一石二鳥でした。

 このようにして直前期は毎週1回は必ず通い、試験の1週間前まで通いました。

7 最後に

 新司法試験は3回の受験制限があり、法科大学院ではみな一生懸命勉強して怠けている人はほとんどいません。それでも合格する人と合格できない人との差が出てしまうのは、法曹として欠かせない基礎体力=事務処理能力の違いだと思います。後からの知識や勉強の詰め込みはいくらでもできますが、まずはこの基礎体力をしっかりつけることが重要だと実感しています。

 実務ではさらにたくさんの資料を読み、すばやく思考を整理してアウトプットすることが求められ、まだまだクリエイトでの基礎体力トレーニングが必要だと実感しています。合格してからは夫も私の尻を叩くのをすっかり忘れてしまったようですが、まだまだ尻を叩いてもらわなければと思っています。