【公認会計士試験と速読】公認会計士に求められる能力とは? | 速読ナビ

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【公認会計士試験と速読】公認会計士に求められる能力とは?

更新日:2024年12月4日 公開日:2023年7月4日

 この記事は、平成22年度公認会計士試験に合格された、冨田さんによる速読体験記です。

平成22年度公認会計士試験合格 冨田 大資

はじめに

 2010年(平成22年)2月にクリエイト速読スクール(以下、「クリエイト」)に入会して以来、集中的に自分の能力向上を図り、平成22年度の公認会計士試験に合格することができました。

 さらに、TOEICのスコアも上昇し、10月に実施された公開テストでは900点(L: 480、R: 420)を取得できました。

 クリエイトに出会って、私は大きく成長できました。この場を借りて、クリエイトの皆様に感謝申し上げます。

 本稿が皆さんのお役にたてれば幸いです。

公認会計士に求められる能力

 私がクリエイトに入会した目的を一言でいえば「会計士試験に合格するための事務処理能力の向上」です。そして、事務処理能力を向上させる必要性に気づいたのは監査法人に就職したことがきっかけでした。

 2007年9月、私は某監査法人に入所しました。当時は内部統制監査導入により、会計士業界はバブルの状況にありました。そのため、会計士試験の第1段階、短答式試験にさえ合格していれば受け入れてくれる監査法人も存在したのです。

 監査法人に入ってみると、当然のことながら、私以外の職員はほとんど全員が会計士試験合格者でした。言い換えれば、私は会計士試験という世界の「成功者」に囲まれて仕事をしていたわけです。会計士試験受験生にとって、これ以上に恵まれた環境はありません。

 ナポレオン・ヒルのように、成功者にインタビューをして回れば、何かをつかめるのではないか」

 そう考えた私は同僚の合格者にインタビューをして回りました。

 すると、意外にも、合格者の会計に関する知識は大したことがないことがわかりました。もちろん、「この人はすごいなぁ!」と感心する人も数名いました。しかし、大半は私と同程度だと感じました。むしろ、「この程度の知識ならば、私の知人(不合格者)の方がすごいのでは?」と感じることもありました。

 私が合格者から知見を得たのは、監査現場に出てからのことでした。

 彼らは仕事が速いのです。例えるならば、ヘリコプターです。ヘリコプターのように、業務上必要最低限の荷物(知識)を備え、最短距離で目的を達成していくのです。一方で私は、重戦車のように、ゆっくり仕事を進める人間でした。業務に関連する知識を可能な限り多く備え、地道に仕事を進めていくので、どうしても遅くなります。どちらの方が上司からの満足度が高かったかというと、当然、ヘリコプターの方でした。

 このとき、私は「会計士試験でも同様の事態が生じているのではないか」と考えました。

 すなわち、会計士試験には制限時間(勉強期間、試験時間)があるので、限られた勉強期間内に必要な勉強を終わらせ、試験時間内により多くの点数を取る必要があるため、勉強や解答が速い方が有利です。また、知識も試験合格に必要な量を備えていればよいわけで、試験で問われている以上の知識を持っていたとしてもプラス評価されるわけではありません。

 したがって、重戦車のように地道に勉強を進めるよりも、ヘリコプターのように必要最低限の知識を備えて最短距離で勉強を進める方が試験に強い、ということができます。

 このように、仕事や試験などでの目的を、速く、短時間で達成する能力を「事務処理能力」と本稿では定義します。そして、前述の経緯から、会計士試験に合格するためには事務処理能力が不可欠である、と考えました。

 また、私見によれば、この事務処理能力は2つの要素に分解できます。

 「事務処理能力」=「優先順位付け」×「頭の回転の速さ」

 「優先順位付け」とは、目的達成に必要なものと必要でないものを峻別し、必要でないものを排除し、必要なものだけを優先順位の高いものから順に実行する能力です。このことに関しては、各人の価値観に委ねられるものなので、本稿では省略します。

 問題は、「頭の回転の速さ」です。これを後天的に身につけるには特別なトレーニングが必要です。

 そこで私は、「速読トレーニングを受ければ、頭の回転の速さも上がるのではないか」と考え、当初はクリエイトとは別の某速読プログラムに参加していました。そのプログラムは数日間で実施されるもので、本の字面を眺めてから、ザーッと本を読み、自分にとって必要な情報を拾い上げる、というものでした。しかし、そのプログラムは、プログラムの会場にいた時は効果があるような感覚になるのですが、自宅で再現することは困難なものでした。参加した後も一生懸命再現を試みますが、全く効果はあがらず、速読をあきらめかけました。

 それでも、心の中では「速読ができたらなぁ」という気持ちは持ち続けていました。というのも、自分は読書が好きなので、速読ができるようになれば、頭の回転が上がるだけでなく、自分の趣味も充実して、一石二鳥だからです。

 ある日、書店に立ち寄った時、出版直後の『試験に受かる1日15分速読勉強法』に目が留まりました。内容を見てみると、司法試験合格者を17年連続(出版当時)で輩出し続けているとありました。

 「これはもしかしたら、会計士試験にも応用できるかもしれない」

 そう考えた私は無料体験講座を受講してみることにしました。実際に受講してみるとクリエイトの内容が合理的であり、信頼できることを確認できました。そして、「今度こそ、本当に速読できるようになるんだ」という強い決意で入会を申し込みました。

速読を公認会計士試験に活かすための工夫

 前述の通り、会計士試験に合格するためには事務処理能力の向上が不可欠であり、その事務処理能力のうち「頭の回転の速さ」を向上させるために速読をしようと考え、クリエイトに入会しました。当時の私にとって会計士試験合格は至上課題だったので、試験日に頭の回転の速さのピークを持っていきたいと考えました。

 そこで、試験初日から逆算してスケジューリングすることを思いつきました。これにはポイントが2つあります。

 第1に、試験初日(8月21日)の3日前(8月18日)に55回目のレッスン(※友人と同時入会のため各5回プラス)を受講できるようにすることです。

 第2に、受講頻度は逓減的に設定することです。具体的には、2月・3月は週5回、4月・5月は週4回、6月は週3回、7月は週2回、直前は週1回、というように設定しました。

 ちなみに、執筆現在、私は文章演習講座に参加しているだけでなく、速読のレッスンの受講を再開していますが、これらのことは想定外の事態です。なぜなら、入会当初は会計士試験日に能力のピークを持っていくことしか考えていなかったからです。極端なことを言えば、会計士試験に合格できさえすれば、その後はどんなに能力が下がってもかまわないとすら思っていました。しかし、私は今もクリエイトに通っています。それは、クリエイトのレッスンの内容が、想定外におもしろく、かつ効果があったからです。

速読トレーニングをどう試験に活かしたか

 では、クリエイトのレッスンの内容(各トレーニング)をどう試験に活かしたかを紹介していきたいと思います。

●トレーニング全般

 クリエイトの各トレーニングには必ず制限時間が設けられています。そのため、私は各トレーニングを通じて「時間対効果の意識」と「集中力」を高めることができました。

 試験のルールは、基本的に「制限時間内に、より多くの点数を取った方が勝ち」というものです。延長戦は認められません。ということは、時間対効果が高い方が試験に勝つ、ということになります。クリエイトの各トレーニングには必ず制限時間が設けられているので、スコアを伸ばしたければ時間対効果を意識せざるを得ません。

 また、制限時間が設定されているため、スコアを伸ばしたければダラダラすることは許されません。必然的に集中力が高まります。

 本番において、私は、制限時間内により多くの問題に解答し、正解するため(時間対効果を高めるため)、自分の解けそうな問題から解くことを心がけました。当たり前のことですが、このように解くことで「解けるはずの問題を解けずに時間切れ」という最悪の事態は回避できました。

 また、本当に集中力が高まっていたため、周囲のことはまったく気にならないほど集中できました。会計士試験は盛夏に行われるのですが、私が蝉の鳴き声に気づいたのは、試験が終わった後でした。

●カウント呼吸法

 クリエイトのトレーニングでは、最初に必ずカウント呼吸法を行います。

 私はこれを儀式として日々の勉強に導入しました。具体的には、テスト形式の問題を解く際は、必ずカウント呼吸法を儀式として行ってから解答を始める、ということをしました。当然、本試験の時も、カウント呼吸法を行ってから解答を始めました。

 このようにカウント呼吸法を勉強前に儀式として行うことで、本試験をいつも通りのテンションで受験することができました。もちろん、本来のリラックス効果もあります。

●認知視野拡大のトレーニング

 カウント呼吸法の次は、視野を広げるために、サッケイドシートやランダムシートなどのシートトレーニングが行われます。

 視野が広がったことで、問題文の見落としやケアレスミスが減りました。クリエイト入会前、私の答練(ミニ模試のようなもの)での失点原因の9割超はケアレスミスでした。問題文の見落としやケアレスミスが減ったことで、成績が上がったことは言うまでもありません。 

 また、会計士試験のみならず、このトレーニングはTOEICにも有効だったように思います。というのも、TOEIC(特に、リーディング・セクション)は時間との闘いなので余裕を持って解答できず、かつては解答上必要なポイントを見落とすことが頻繁にありました。しかし、このトレーニングを受けたことで、見落としによる失点はかなり減りました。結果、TOEICのスコアはリーディング・セクションだけで、110点上昇しました。

●読書内容に集中するトレーニング

 中盤では、読書内容に集中するトレーニングとして、スピードチェック・スピードボード・ロジカルテスト・イメージボード・イメージ記憶などが行われます。

 中盤のトレーニングで最も役立ったのは、スピードチェックです。このトレーニングでは、「先へ、先へ」の精神が鍛えられます。先程も同様のことを述べましたが、試験では、正解できるはずの問題に解答できないことがリスクなので、特定の問題に執着することは絶対に避けなければなりません。クリエイト入会前の私は、解答済みの問題に未練や執着があったため、全問に解答できたことはほとんどありませんでした。しかし、このトレーニングを受けることで、解答済みの問題に未練や執着がなくなり、「先へ、先へ」の精神が芽生えました。解答できる問題にすべて解答できたことは、こうした要因もあったと思われます。

文章演習講座について

 私は今、文章演習講座(以下、「文演」)に参加しています。

 結果的に、文演を受講せずに会計士試験に合格することができたわけですが、「文演を受講してから会計士試験を受けたら、もっと楽に合格できただろう」というのが率直な感想です。その理由は、「試験委員が受験生の答案を1枚当たり何分で採点しているか」を考えてみると理解していただけると思います。

 平成22年度公認会計士試験の論文式試験受験者数は5,512人でした。財務会計論(会計学〔午後〕)を例にとって考えてみると、解答用紙は5枚あります。そして、会計士試験の性質から、ダブルチェック(ないし、トリプルチェック)が行われていると仮定すると、解答用紙は全部で、

 5,512人 × 5枚 × 2~3回 = 55,120~82,680枚

存在することになります。
 仮に、試験委員が1枚当たり3分間かけて採点していたとすると、すべて採点するには

 55,120~82,680枚 × 3分間 = 165,360~248,040分間 ≒ 2,756~4,134時間

かかることになります。
 財務会計論の試験委員は18名いるので、試験委員全員で分担して採点したとすると、試験委員1人当たり約153~230時間かかることになります。

 ここで、試験委員がどのような人たちか考えてみてください。彼らはだいたい50歳から60歳程度の大学教授か監査法人の代表社員で、大学の授業、学会、実務等で多忙な方々です。そのような方々を、2~3ヶ月で約153~230時間拘束することは現実的でしょうか。

 もうお分かりかと思いますが、試験委員は受験生の答案を1枚当たり3分間もかけられない、ということになります。せいぜい1~2分間、といったところでしょう。1~2分間で専門用語がちりばめられた答案を採点する。しかも、年齢的に、試験委員が老眼だったとしたら……。試験委員の苦労が身にしみます。さらに、文章が下手で訳のわからない答案を読まされたら……。

 文章が上手な方が絶対に試験に有利です。したがって、文演を受講してから会計士試験を受けたら、もっと楽に合格できただろう、と思うのです。

 もう一点、文演に関して特筆すべきことがあります。それは、文章の読み書きの姿勢が以前よりも真面目になった、ということです。

 文演を受講する前は、自分にとって必要な情報さえ吸収できれば十分、というスタンスで本を読んでいました。したがって、小説は好んで読みませんでした。しかし、文演を受講した後は作家の文章の良さが、なんとなくですが、わかるようになってきて、小説を読むと、「もっと読みたい」という感情が出てきました。分間読字数は下がりましたが、自分としては以前にも増して真面目に文章を読むようになったと思います。

 また、以前よりも真面目に文章を書くようになりました。文演を受講した後に適当に書かれた文章を読むと、筆者の適当さ加減がわかってしまいます。逆に、巧みに書かれた文章を読むと筆者の力量や努力の跡がわかります。このことは、ある意味で怖いことですが、一方で自分を認めてもらえるチャンスでもあります。そのため、以前よりも文章を書く姿勢が以前にまして真面目になったと思います。

 文演を受講できた自分はラッキーだと思います。

 私の周囲には文章作成に対する苦手意識を払拭できずに苦労している人たちが多数います。そのような人たちと比べると、文章の手ほどきを受けられた自分は本当に恵まれていると思います。

受験生にむけてのメッセージ

 最後に、皆さんへの応援メッセージとして、私の一番好きな言葉を紹介します。

 虚仮の一念岩をも通す

「虚仮(こけ)」は、「思慮・分別が浅いこと。愚かなこと。また、そのような人」(『大辞林・第三版』(三省堂))を意味することから、「虚仮の一念岩をも通す」は、「どんなに愚かな者でも一念を持って行えば大きな仕事ができる」ということを意味します。

 先述の通り、私は愚か者でしたが、会計士試験に合格したい! と願い続け、その願いがクリエイトとの出会いを呼び、最終的に本当に会計士試験に合格することができました。

 このことは会計士試験以外のことにも当てはまると思います。どのようなことでも、信念を持って粘り強く行動し続ければ必ず報われる日が来ます。

 どうぞ、頑張ってください!

劉 智秀 1999年東京都生まれ/栄東中学・高等学校/東京大学経済学部卒/クリエイト速読スクール二代目代表