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納得しないと記憶は難しい
理屈はわかっても、何だか「ピンとこない」ということはよくあります。
たとえば数学で、公式が導き出される過程は理解できるが、今ひとつ腹の底から「わかった」といえない。
そんなとき、公式をグラフ化してみたり、具体的な応用問題の中で用いたりすると、「なるほど」と納得することがあります。
体験の記憶は忘れにくい
これは、それまで単なる理屈でしかなかったものが、ひとつの具体的なものとして体験され、記憶されるからです。
体験の記憶というものは具体的で、鮮やかであり、永く残ります。
無味乾燥な暗記物の比ではありません。
こうした記憶の特性に着目した手法が、イメージ記憶です。
イメージとは何か
イメージとは、それが思い出であれ、空想であれ、心の中で見たり、聞いたり、感じたりして体験することのできる、具体的な心の像です。
これは実際の視覚体験に基づくものであることが多く、過去の経験や想像から生まれます。
心の中にイメージを描くということも、それが鮮やかであればあるほど、一種の擬似体験としての性格を持ってきます。
イメージ記憶法
イメージ記憶は、心の中で対象を擬似体験することで、強固な記憶をつくりだそうという手法です。
たとえば
- 田中さんという人の名前をおぼえるのに、その人が田んぼの中に立っているイメージを思い浮かべる
- 友人に借りたお金を返し忘れないように、その友人のおでこに、千円札がくっついているイメージを思い浮かべる
といった具合です。
こうした記憶のしかたは一見ばかばかしいことのようですが、実際にやってみると、かなり有効であることがわかるはずです。
アウトプット重視は、体験重視ということ
よく言われる勉強法の一つに、「インプットよりもアウトプットに時間をかけよ」というものがあります。
これも「実際に思い出してみる」「実際に手を動かしてみる」という体験を重視する考え方であると、説明ができます。
頭の中でイメージをする習慣を
たとえば、授業を聞きながら、その内容を頭の中でイメージしてあげると、自分の理解を瞬間的に確かめることができます。
退屈に思える単語の暗記なども、イメージを活用して覚えると、楽しくなるはずです。
ぜひ日常に取り入れてみてください。
イメージの材料を集めよう
豊かなイメージは、過去の記憶をもとに、複数の要素を組み合わせることによって、はじめて可能になるとされています。
一度も見たり聞いたりしたことのないものを、イメージすることはできません。
「どのようなことも、まずは経験だよ」と、いろんな大人から、事あるごとに言い聞かされてきました。
「こっちはどれも好きでやってるんだから、ほっといてくれ」と、子ども心にムッとした記憶があります。
この言葉に納得ができたのは、イメージ記憶をやるようになってからです。
何か一つ、新しいことに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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劉 智秀 1999年東京都生まれ/栄東中学・高等学校/東京大学経済学部卒/クリエイト速読スクール二代目代表