目次
右脳と左脳の違いはなぜ存在する?
右脳思考といった表現はよく聞きますが、右脳型の走り方、という表現はあまり聞きません。
これは、運動機能においては、脳のどちらか一方に寄っている、ということがないためです。
勉強や仕事において、右脳と左脳の違いが話題になる背景には、「対側支配の原則と、その例外としての高次機能」という視点があります。
「右脳が左半身、左脳が右半身」という役割分担
まずは原則のお話です。
私たちの脳は、右脳が左半身を、左脳が右半身を制御するというしくみになっています。
こうした左右逆転のルールは、「対側支配の原則」と呼ばれます。
- もっとも重要とされる視覚情報が、目というレンズを通る結果、左右逆転した状態で、脳に伝わるから
- 外敵から攻撃をされた際、攻撃を受けた側の体が動いた方が、素早く逃げられるから
といった仮説が存在しますが、なぜこのようなしくみが存在するのかについては、いまだ解明されていません。
右半身の記憶? 左半身の意識?
こうした左右逆転は、「手を動かす」といった運動に関する脳領域で顕著です。
右脳が左手を動かし、左脳が右手を動かす、といえます。
一方で、意識や記憶などに目を向けてみると、右半身の記憶、左半身の意識、とはなっていません。
右脳の役割・左脳の役割
次に例外のお話です。
右脳が左の世界、左脳が右の世界という、対側支配の原則は、高次機能(=記憶や思考など)には当てはまらなくなります。
こうなると、左右の脳が、単独で、別々の機能を担うことが可能になります。
その結果、人では、右脳が図形処理や直観的思考を担当し、左脳が言語機能や論理的思考を担当するようになっています。
左右の脳に優劣はない
より細かい動作をする右手は、左脳から指示を受けています。
直前でご紹介したように、右脳と左脳では役割分担があります。
これらを論拠に、どちらが一方が優れている、ないしは、どちらか一方を鍛えるべきとする主張がありますが、それは誤りです。
両者は役割分担をしているだけであり、そこに優劣はありません。
2つが揃ってはじめて、私たちは外の世界と向き合うことができるのです。
参考:脳の機能局在とは。右脳をつかえば速読ができるという誤解
右脳左脳診断は、あくまでも1つの視点
右脳型・左脳型というのは、最近流行りのMBTI診断と同じです。
自己理解には役立ちますが、盲信するのは考えものです。
あくまでも1つの視点として、程よい距離で付き合っていきましょう。
参考文献
三上章允『カラー図解 脳の教科書』(ブルーバックス)講談社, 2022年10月
この記事のタグ
劉 智秀 1999年東京都生まれ/栄東中学・高等学校/東京大学経済学部卒/クリエイト速読スクール二代目代表

