速読ってどんな感覚? 趣味の読書にのめり込むようになった理由 | 速読ナビ

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速読ってどんな感覚? 趣味の読書にのめり込むようになった理由

更新日:2024年4月20日 公開日:2023年7月4日

 この記事は、編集者の石原さんによる速読体験記です。

石原 まあさ

趣味はと聞かれれば読書と答えるけれども

 大学を卒業して出版社に就職し、編集者として忙しく働くうちに、ふと気づけばあっという間に20代後半。ああもう30代か、と驚きつつ自分を省みると、仕事はぱっとせず、ただ忙しいだけ。プライベートで何か打ち込むものがあるわけでもない。趣味はと聞かれれば読書と答えるけれども実際のところは趣味と言えるほど読んでいるわけでもない。こんなでいいのだろうか、と考え始めたころに、書店の自己啓発コーナーで『らくらく速読ナビ』を見つけたのがクリエイトとの出会いでした。そうか、速読という手があったか! これはもしかすると、今の自分の中途半端な状況から一気に抜け出すための突破口になるかもしれない。そんなことを考え、すぐに体験レッスンに申し込みました。

トレーニングに時間を割くなんてもったいない

 速読に期待する反面、効果を疑う気持ちも強く、トレーニングに時間を割くなんてもったいない、その時間を読書に充てたほうがたくさん読めるのではないか、とも考えていました。ところが、いざ体験レッスンが始まると、錆びついていた頭をフル稼働させるようでとても面白く、いつのまにか疑う気持ちなど忘れて夢中になって取り組んでいました。また、体験レッスン後に受けた説明はとても丁寧であいまいなところがなく、それぞれのトレーニングが明確な目的を持って作られていること、それらが相互に作用して速読の効果が現れることを理解することができました。さらに、説明を通じて、自分の読書スピードがこれからどんなふうに向上していくのかがありありと想像されて、久しぶりにわくわくするという気分を味わいました。

 子どものころから習い事が長く続いたためしはなかったので、50回という基本の受講回数にはやや不安を覚えましたが、帰宅してからも、頭が久々に活動を再開した感じ、気分がわくわくと高揚する感じが忘れられず、翌日には入会することを決めました。

1ページ全体が軽々と見渡せるように

 クリエイトのトレーニングでは、前半は視野を広げることを目的にした目の訓練が中心です。この訓練の成果は、10回も通わないうちに早くも感じるようになりました。本のページをめくったときに1ページ全体が軽々と見渡せるようになり、ページに並んだ文字がいっせいに文字のほうから勢いよく目に飛び込んでくるような感覚が生まれました。体験レッスン時に1,200字/分だった読書スピードがあっという間に3,000字/分程度まで伸びたほか、文字に吸い寄せられるようにページに釘づけになり、それまでなかったほどに集中して本に向かっている自分にふと気づいて、驚くことが増えました。

目に飛び込んでくる文章をすばやくイメージ化

 体験レッスン時の1,200字/分から3,000字/分になるにあたっては、めくるページ数も2.5倍ほど速くなっているわけですが、速くページをめくりつつきちんと内容も理解するうえで特に役に立ったのは「イメージ記憶」でした。これは、提示されているさまざまな単語を頭の中にすばやくイメージとして思い描くことで記憶するという訓練です。この訓練を通じて、文章を読んだときにも内容をぱっぱっと絵のように変換することが無意識にできるようになり、1分間に3,000字/分のページをめくっていたのが4,000字/分になり、5,000字/分になり、やがては10,000字/分のページ数をめくっても、目に飛び込んでくる大量の文字列を意味のある情報として理解することができるようになっていきました。

内容が強く印象に残る読み方

 また、もともとの自分の読み方の問題点として、理解できているつもりが実際にはきちんと理解できていないことや、自分にとってよく知らない内容が出てきたときに無意識のうちに読み飛ばしてしまうこと、読後にほとんど何の印象も残っていないことが少なくなかったのですが、イメージ記憶のスコアが上がるにつれて、それらが変化していきました。まず、言葉の内容や意味をイメージ化するには、自分なりにその言葉をきちんと理解し、咀嚼できていることが前提になるため、「理解できたつもり」がかなり防げるようになりました。また、言葉を見たら即イメージ化する、ということが思考方法として習慣づいたことで、よく知らない内容から無意識に目をそらして読み飛ばしてしまうことがぐんと少なくなりました。

 さらに、読んだ内容が記憶として定着しやすくなり、特に小説では、登場人物の動きや色彩などの印象がいきいきと自分の中に残るようになりました。きちんと理解する、深く印象に残るといったことは、速く読むこととは対極にあることだという先入観がありましたが、実際には、速く読めるようになったころから読書の面白さも格段に増し、休日などには起き抜けに顔も洗わずに本を読み始めてしまうほど、読書にのめり込むようになりました。

「文演」で書き手の意図を正確に理解する力を磨く

 理解面での向上について書くうえで、もうひとつ、私にとってはずせないのが文演(文章演習講座)を受けたことでした。文演では、教材として用意された書き手も内容もさまざまな文章を他の受講生とともに読み込み、何を書き手は伝えようとしているか、自分たちは本当にそれを読み取ることができているか、書き手の意図が読み取れない文章だとしたらいったいどこが問題なのか、などについて、時間をかけて議論しました。ここで行った、文章を前にして考え抜くという経験を通じて、良質な文章には著者の考えや思いが文中の言葉の一つひとつに丁寧にはりめぐらされていること、無駄な言葉はまったく使われていないことが、回を重ねるごとに実感できるようになっていきました。と同時に、書き手が意図を持って用いた言葉を自分がどれだけ安易に読み飛ばしてきたかに気づかされて愕然とし、自分がいかに読んだつもり、理解したつもりになっていたかを改めて考えさせられる機会になりました。

「速く読める」だけでなく理解力も上がったと実感

 8回にわたる文演の後、文章に対する姿勢は確実に変わったと感じます。特に、書き手と読み手の存在を強く意識するようになり、文章を読むときには書き手が発信していることをいかに漏らさずに読み取るかを、また、自分が文章を書くときには、どう書けば読み手に自分の意図を伝えられるかを、よい意味での強い緊張感を持って考えるようになりました。このことは、ちょうど書き手と読み手の間にいる編集という仕事にもよい影響を与えて、文演から数か月後に担当した書籍では、執筆者から「あなたのように深く読み込める人はいない」という言葉を掛けていただくことができました。速度だけでなく理解する力も伸び、「読む力」が総合的に上がっているのだなと実感した嬉しい出来事でした。

脳のアンチエイジングにも

 先にも書いたように、以前は、トレーニングに時間を割くなんてもったいない、その時間を読書に充てたほうがむしろたくさん読めるのではないか、と考えていました。30代が視野に入ってくる年齢になり、自分が20代を恐ろしく無為に過ごしてきたことにふと気づいて、とにかく手っ取り早い打開策を講じなければという焦りがあったと思います。といっても、何か行動を起こすこともしないまま、相変わらず漫然と過ごしていたのですが。

 読むのが速くなったと強く実感できるようになるまでに、私の場合はおおよそ50回、時間にすれば75時間、クリエイトに通ったことになります。そうやって振り返ってみれば、ずいぶんと地道なトレーニングの積み重ねではあり、当初目論んだような、一気に突破口をひらくとか劇的に何かが変わるとかいった手っ取り早いものでは決してなかったともいえます。ただ、それによって得られた効果は、単に読書スピードの向上にとどまらず、感受性、洞察力といった文章への理解や共感をより深いものにする心の働きの活性化にまで及び、思考の仕方、物事の見方そのものが大きく変化しました。

 さらに、これらの向上した力、変化した思考方法は、読書や仕事などで文章に触れるたびに無意識に発揮されるので、文章に触れる機会を多く持ち続けていさえすれば錆びつくことなく長く維持できると思われ、年齢によって揺らぎにくい一生ものの脳の土台作り、脳のアンチエイジングにもつながっていると感じています。以前なら、現状の自分に対して焦りを覚えるとともに、10代のころの吸収のよさを懐かしんだり、将来の自分に諦めを抱いたりしていましたが、今では、この先さらに年齢を重ねてももう動じることはないのではないかと思えるほど、これからの自分にどんなことができるかと楽しみになっています。

分厚い本だと思っても読んでみたら意外にあっという間に読める

 クリエイトに通い始めてあっという間に2年半が経ちました。トレーニングの効果の確かさと、松田先生や講師の皆さんが受講生一人ひとりを丁寧に見て指導してくださる教室の居心地のよさに惹かれて夢中になって通ううち、当初心配した50回を軽々とクリアし、受講回数は既に100回を超えています。読書スピードは入会時の軽く10倍以上になり、そのほかの向上もこれまでにさまざま書いたとおりですが、さらにもうひとつ、ずいぶんと前向きに物事に取り組むようになったことも、自分にとって非常に大きな、そして思いがけない変化でした。分厚い本だと思っても読んでみたら意外にあっという間に読める、難解そうな文章だと思っても読んでみれば意外にきちんと理解できるという驚きと嬉しさが積み重なって自信となり、生活のあらゆる場面でも活きていると感じています。

 クリエイトに通って以来、受講後に教室を出るたびに、何でもできそうな、跳びはねたくなるような感覚をいつも味わっていました。当初の入会目的からしても、ここまで来ればもう十分。……のはずなのですが、さまざまな向上や進歩と競り合うような勢いで、もっと速く読めるようになりたい、もっと深く理解できるようになりたいという欲も強まっていくばかりです。その欲を満たすために、まだ当分はクリエイトに通い続けるつもりです。

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