脳の機能局在とは。右脳をつかえば速読ができるという誤解 | 速読ナビ

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脳の機能局在とは。右脳をつかえば速読ができるという誤解

更新日:2025年3月9日 公開日:2025年3月9日

脳の機能局在とは

 脳は場所によってはたらきが違うことがわかっており、こうした特徴は「脳の機能局在」と呼ばれています。

 この事実は、外傷や病気によって脳の一部が障害を受けた後、現れる症状を観察することで、明らかにされました。

 現在ではfMRIなどの先端技術によって、脳の活動をリアルタイムで観察することが可能になり、機能局在の理解が進んでいます。

脳の機能局在の例外

 身体の感覚や操作など、比較的単純な機能については、脳領域との対応関係が明確です。

 しかし、高次の機能については、どの程度機能局在が成り立つのか、かならずしもはっきりしていません。

 認知・判断・意識といった機能は、複数の脳領域の連携によって実現している場合があるのです。

脳は統合的なシステム

 たとえば、読書ともなると、感覚系から運動系まで、広い領域の細胞がはたらいています。

 シンプルに思える課題であっても、遂行中の脳を観察すると、多くの領域がほぼ同時に活性化していることがわかります。

 脳の機能局在は、各領域が他から切り離され、単独ではたらいていることを意味しません。

 脳はバラバラの部品の集合ではなく、互いに情報を交換し合いながらはたらく、統合的なシステムなのです。

「右脳を使えば速読ができる」という誤解

 こうした脳の特徴をふまえて考えると、「右脳を使い、潜在能力を解放すれば、速読ができる」という主張の問題点に気がつきます。

 第一に、文字を読むという高度な情報処理においては、誰しもが、脳全体を活用しています。

 脳の一部が使われていないとしたうえで、それが潜在能力であるとするのは明らかなミスリードです。

 第二に、読書は、脳の単一の領域だけでなく、複数の領域が連携することで成り立つものです。

 脳の一部を鍛えさえすれば、速読が可能になるというのは、脳の実態を無視しているといえます。

実践重視の速読トレーニング

 クリエイトの速読トレーニングは、学術的知見を裏付けとしつつも、その大部分が、実践の中で形作られています。

 実践と結びつかない理論には、意味がないからです。

 生徒さんが仕事や勉強に活かせることを第一に考えてきた結果、他に類を見ない実績をあげています。

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 参考:速読とは何か。効果・しくみ・トレーニング理論をご紹介

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劉 智秀 1999年東京都生まれ/栄東中学・高等学校/東京大学経済学部卒/クリエイト速読スクール二代目代表