
一目見て速読することはできない
『ドラえもん』に登場する秘密道具の中に、「アンキパン」というものがあります。
カメラで写真を撮るように、一目見ただけでページ全体が頭に入ればいいのに。
誰もが一度は考えることですが、私たちは普通、一目見るだけで本を読むことはできません。
当然と言えば当然なのですが、これはなぜでしょうか。
この理由は、私たちの目の仕組みにあります。
ヒトの視野の範囲
片目の視野は、それぞれ160度とされています。
試しに目は前を向いたまま、片目を隠してチェックすると実感できるはずです。
一口に視野といっても、すべての範囲が同じように見えるわけではありません。
これが目とカメラの違いです。
視野は、その機能にしたがって3種類に分かれます。
3種類の視野
中心視
まずは中心視。
視野の中心からわずか1-2度と狭い範囲ですが、モノの形や色などを鮮明に判別することができます。
高解像度のレンズのような役割を果たしており、視力検査で測定する数値は、この中心視で見たときの力です。
有効視野
つづけて有効視野。
視野の中心から最大20度程度とされる、情報を認識することができる範囲です。
注目すべきは、その範囲が変化しうるという特性です。
たとえば、何かに集中しているときや、気分が落ち込んでいるときは、有効視野が狭まります。
活字慣れしている人は、読書中の有効視野が広い傾向にあります。
速く読めるようになるための、カギを握る部分です。
参考:「有効視野の特性とその測定手法」
参考:「疲労と有効視野の関係」
参考:「携帯電話でのメール作成時の有効視野」
周辺視野
さいごは周辺視野です。
解像度が低く、文字を読むことはできませんが、大まかな動きを判別する役割があります。
横から何かが飛んできたときに、とっさに避けることができるのは、この周辺視野のおかげです。
読書ではあまり活躍することはありませんが、スポーツなどでは重要な働きを担います。
クリエイトの速読は、目のトレーニングから
クリエイトでは、こうした目の性質を踏まえ、ランダムシートやBPシート、行パターンシートといった、有効視野に働きかけるトレーニングをご用意しています。
身体を使う事柄は、頭で考えてもうまくいきません。
具体的なトレーニングのスコアを伸ばそうとするなかで、広く見てわかる感覚を養います。
「読む」ってそんなに単純じゃないよね、「読む」ってこういう力も必要だよね、の連続です。
まだまだ続いていきます。それでは、また次の記事で。
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劉 智秀 1999年東京都生まれ/栄東中学・高等学校/東京大学経済学部卒/クリエイト速読スクール二代目代表