自分を諦めずにすんだ、クリエイトとの出会い
野原 昌崇(DXコンサルタント)
自己紹介
1972年生まれの50歳、男性、ビジネスパーソン。
最近まで大手小売業の執行役員CIO(最高情報責任者)を務め、現在はフリーランスでDXコンサルタントとして活動している。
お世話になったクリエイト速読スクール 前代表 松田先生から体験記執筆のリクエストをいただいた。お受けするか迷ったものの、私だからこそ伝わるメッセージがあると考え、2023年の体験記を書かせていただくことにした。
この体験記でお伝えしたいこと
クリエイトが私に与えてくれたものは、“絶対的自信”である。
絶対的自信とは、決して、自分が世の中で一番であるとか、他者に比べて絶対的な存在、という意味ではない(他者と比べている時点で相対的でしかない)。
- 自分のままで良い
- この自分とずっと付き合っていくのも悪くない
- 自分にもまだまだ成長の可能性があると確信できる
つまり、私はクリエイトに出会うことで、文字通り、“自分を信じる”ことができるようになった。何歳からでもやり直すことができる、となぜ思うに至ったかについてお話したい。
数年前の私と同じように“自分を諦めたくない”と感じている方の参考になれば大変嬉しい。
入会動機
私の入会動機は、インプット情報量を増やしたい、そのために単位時間あたりの効率を上げたい、従って速読を身につけたい、だった。入会したのは7年前の2016年4月、年齢は43歳。
背景の説明のため、少し個人的な話をさせていただきたい。
私は、2003年から2013年まで会社経営をしていた、事業はアパレルで30から40歳までの10年間になる。途中事業が順調な時期もあったが、最終的には会社を閉めることになった。
その後、IT業界に戻り、雇われの立場で仕事を再開したときに痛感したのは圧倒的な知識不足だった。自らの仕事を最低限こなすことがギリギリ、同僚との能力の差が歴然で、劣等感と焦燥感にまみれる毎日を過ごした。起業せずにあのままIT業界に残っていたら? と、もう1人の自分、もう1つの人生をついつい想像してしまった。
IT業界から10年間離れており知識が足りないのは当然だが、会社を閉めて一兵卒として再起にもがく当時の私には深刻な悩みだった。
そこで、知識不足を解決すべくインプット量を増やすと決めた。
日経新聞だけでなく、日経産業新聞・日経MJ、その他ビジネス誌、WEBメディア、ビジネス書籍と、手当たり次第全てだ。そうなるとどうしても時間が足りなくなる、2倍の速度で読めるのならインプットされる知識は2倍になる、と考えて速読にいきついた。
いま振り返れば、必要なものは知識ではなく、様々な事柄を体系的に理解する軸の整理(自らが離れていた10年間で進歩した技術の変遷)だったが、劣等感と焦燥感が課題解決のアプローチを見誤らせた。
入会後の驚き
入会して慣れるまで3カ月くらいかかった記憶がある、回数にして25回前後、平均週2回通っていた。いくつもの驚きがあったが、ここでは3つに絞って伝えたい。
1. トレーニングメニュー
他の速読スクールの経験がないため相対的な比較はできないが、全てのメニューがユニークで驚いた。視野を強制的に広げ、目の速さの限界を取り払う、序盤トレーニング。目に入った情報を高速処理させる、定量評価で進歩を可視化する、中盤トレーニング。書籍をつかって強制的にページをめくる速度を上げ、速く読むことを脳に慣れさせる、終盤トレーニング。
各トレーニングの詳細については、これまでの体験記にて数多く触れられており詳細は割愛するが、全て理にかなっており、トレーニングの完成度の高さにも驚いた(とはいえ、その完成度に気が付くのは入会から6カ月後くらいであり、慣れるまではメニューのユニークさに驚いたに過ぎない)。
もし、この体験記を読んでいる入会前の方で、その効果に疑問を感じる方がいるのであれば “必ず結果がでるメニューである”と断言する。
また、私のように“四の五の言わずやってみればいい”と雑に扱われることが嫌いで“頭で理解できないと納得しない(スタートできない)”と言う方は、松田真澄著『図解でわかる 速読のすごいコツ』(日本実業出版社、2022年)をお薦めしたい。この書籍は入会直後(10-20回終了後)に既存会員こそが読むべきものだと思う(私の入会当時には出版されていなかった、入会10-20回のタイミングで読んでいれば私のスコアはさらに格段に伸びただろう)。
2. 若い生徒のレベルの高さ
先ほど述べた通り、中盤トレーニングは定量化されているためスコアがでる。
これが、残酷であり素晴らしい、大げさだが美しいとさえ感じる。スコアがでるので、自分自身が想像しているよりも驚くほどできないという事実を突きつけられる、最初はショックで頭がクラクラする。加えて、同じトレーニングを受けている若い生徒(10-20歳)の圧倒的なスコアが追い打ちをかける。
中学生くらいの生徒が、イメージ記憶15秒・15秒をこなしているのを見たときには驚きを超えて達観に至り、尊敬と自嘲が混ざった笑いしかでてこなかった。
若い生徒に100メートル走で負けてしまうのは仕方がない。記憶力(イメージ記憶)で負けてしまうのも受け入れざるを得ない。しかしながら、社会に出ていない人間にロジカルテストで負けるとは夢にも思わなかった。
ところが、この衝撃的な経験こそが“世の中、上を見ても下を見てもきりがなく、自分は自分である”という相対性からの解脱へと私を導いてくれた。
3. トレーニングのクリアランス効果
以前にアンケートにてコメントしたが、私はクリエイトに通うと毎回翌日の脳がスッキリした、言葉で表現できないほどのクリアランス感だった。
トレーニングで頭を使ったはずなのに、翌日朝にはその疲労感はなく、むしろ脳が軽く速く動く状態になる、加えて脳の状態が気持ち良く感じる(改めて怪しい表現だと思うが、気持ち良いものは気持ち良いので仕方ない)。最近でいうと、“サウナでととのう”に似ているかもしれない。
トレーニング効果
私は、2018年12月まで2年半で100回トレーニングを受けた。
残念なことに、仕事の都合で地方に転居となり通うことが難しくなってしまった。
トレーニング効果についても、3つに絞って述べたい。
1. 速読ができるようになった①
速読というと、まるで超能力を身につけるようなイメージがあるが、クリエイトの速読はそうではない。私の友人でランニングを趣味としている尊敬すべき彼ら彼女らと同じだ。最初は1キロも走れなかったが、日々トレーニングを繰り返していると5キロ10キロと走れるようになると聞く。中には、マラソンに挑戦して3時間台で走る猛者もいる。彼らも、最初は42.195キロを走ったならば6-7時間かかる。それが地道なトレーニングの結果で半分のタイム3時間台で走ることができるようになる、スピードは2倍である。
クリエイトの速読は、これに似ている。
何かのコツや特殊能力を身につけるのではなく、地道な努力の積み重ねで熟読速度が間違いなく2倍以上になる。文章を2倍のスピードで読むことができるということは、入学試験や資格試験での解答作成時間が2倍になる(正確には、問題文読解と解答作成の初期時間配分に拠る)。
ビジネスにおけるアウトプットが2倍になる(同じく、インプット時間とアウトプット時間の関係性に拠る)。
なお、私個人としては、熟読のスピード到達目安は2倍程度が現実的だと感じているが、内容理解力はその後も持続的に上がっていた感覚がある。
具体的には、入会前は熟読で1時間かけて書籍内容を50%理解していたものが、トレーニングを積み重ねることで2倍のスピードの30分で熟読が可能となった(内容理解度は同じく50%)。
その後、さらにトレーニングを積み重ねると、スピードは変わらず2倍(熟読30分)だが、内容理解度が100%に近づいていく、というイメージである。
文章を読むスピードは定量化できるが、理解度が深まっていることは定量化できないため見落とされがちかもしれない。
2. 速読ができるようになった②
①では、熟読速度について述べた。ここでは、速度をコントロールできるになったこと、正確には、速度と内容理解のトレードオフスライダーを任意のレベルの組合せで使い分けることができるようになったことを伝えたい。
通常、熟読の2倍の速度で文章を読むと、熟読の1/2の理解も得られない。5倍の速度となると、1/5どころかほとんど理解ゼロになる。クリエイトのトレーニングを受けると、この2倍のスピードで1/2の理解を、5倍のスピードで1/5の理解を得ることができるようになる。
これはビジネスにおいては非常に強い武器になる。
重要であろう資料は熟読を、重要ではないであろう資料は2倍速で読むという使い分けができる。新規事業など新しい分野の理解を深める必要がある際には、まず関連書籍20冊をまとめ買い、5冊くらいを3倍速で流して“キーワード”と“業界の主論点”を把握、その後に残り15冊を“当該キーワード・論点への記載充足度”を測るべく5倍速で読破、読むべき書籍を3-5冊に絞る。絞った3-5冊を改めて熟読することで当該新分野への理解を深める。
この速読コンビネーションには、いつも助けられている。
3.“絶対的自信”の獲得
繰り返しだが、中盤トレーニングは定量化されているためスコアがでる。トレーニングを積み重ねることで、このスコアが着実に伸びる。もちろん、前述の天才的な若い生徒のスコアに比べれば、陳腐で取るに足らないスコアでしかない。それでも、自分が成長していることが確実に実感できる、そして、その成長とは、“脳力”の成長である。
多くのビジネスは脳を動かしてアウトプットをしていく、 脳力こそがビジネスパーソンのケイパビリティ(力量)である。入会前の私は、20代に比べて頭の動きが鈍くなった、記憶力が衰えたと、加齢による“脳力”の衰えを痛感していた。個人的な事情だが、会社員として特定の組織で実績の積み上げやポジションを上げていた訳ではなかった。経営していた会社を閉め、一兵卒として、まさに裸一貫でこれからビジネス社会を生き抜いていかなければならない。加齢による脳力の衰えの実感は、大げさに聞こえるかもしれないが、自らの人生への絶望に近い感覚だった。
それが、クリエイトでトレーニングを積み重ねることで、43歳の自分の脳力が日々成長していることを確認できる、将来に渡ってこれからも持続的な脳力の成長を確信できる、まさに私が切望していた“自らの再起への希望”を手に入れることができた。
速読力①②はトレーニングから離れるとそれなりに能力が低減するが、この“絶対的自信”については色あせることなく、いまも私を支えてくれている。
まとめ
私は、経営していた会社を閉め、IT業界に戻り、知識不足という相対的劣等感を解消するためにクリエイトに入会した。トレーニングを積み重ねることで、自らの“脳力”の成長を確認することができ、それを通じて
- 自分のままで良い
- この自分とずっと付き合っていくのも悪くない
- 自分にもまだまだ成長の可能性があると確信できる
と“絶対的自信”を得ることができた。
振り返ってみると、奇妙な話だと思う。相対的劣等感を克服しようとして、絶対的自信を得ている。
入会目的は、
- 相対的劣等感から知識不足を解消するために
- インプット量を増やそうと考え
- 速読力をつけるべくクリエイトでトレーニングを受けた
しかし、結果は、
- トレーニングで“脳力”が成長していること、これからも成長できることを確信できたことで
- “自分を信じることができる”という絶対的自信を得ることができた
- 速読力を得たが、これはオマケのようなものかもしれない
クリエイトに出会って、私の人生は大きく変わった。
- いまの自分にできないことは、これまでやっていないだけ
- どんなことでも、1から学べばいいだけ
- 他人に劣っている、優っているなど、上も下も見ていたらきりがない、昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分が成長することが全て
と思えるようになった。
数年前の私と同じように“自分を諦めたくない”と感じている方の参考になることを願い、体験記を終わりとしたい。
最後に
クリエイトと私を結びつけてくれた存在について触れさせていただきたい。
私が独立起業する前(20年ちょっと前)に在籍していたIT企業の役員だった。同年代とは全く思えない、知識の豊富さ・思考の深さ・判断力の卓越さに圧倒された。大変有り難いことに、2人で食事をする機会を何度もいただいた。瀧本さんが推すクリエイトだからこそ何の疑いもなく始めることができた、ご縁に心から感謝したい。
そのクリエイトも2023年に大きな転換期を迎えた。
40年にわたり教室を運営され、数え切れないほどの生徒を導いてこられた松田先生に、日々のトレーニングを支えてこられた講師陣の皆さまに、心より厚く御礼申し上げたい。
そして、新しい時代を切り開いていかれる新代表 劉先生と新しいクリエイトが大いなる発展を遂げられることを心から祈念する。
以上