BTRメソッドとは

 BTRメソッドとは、Basic Training for Readers〈読書する人のための基礎的訓練〉methodの略で、読書に必要な情報処理機能(認知機能)を改善する、クリエイト速読スクール独自のトレーニングシステムです。

 「読書に集中できない」「頭が空廻りして内容が入ってこない」「思い出せない」という悩みを抱えた方への支援とともに、活字を読み慣れた方に対しては、さらに深く効率的な読書が体験できるように構成されています。どうぞ、自己目的の達成のために、BTRメソッドをお役立てください。

BTRメソッドのシステム

BTRメソッドのシステム

読書に必要な認知機能を改善する

 「認知機能」とは、人間の情報処理メカニズムを研究する認知科学のことばで、幅広い使われ方をしますが、ここでは「無意識なプロセスも含んだ、人間の情報処理の働き」というような意味です。

 BTRメソッドは、認知視野の拡大と読書内容への集中という、読書の効率化に必要な2つの面での認知機能の改善を大きな柱にしています。

 90分のトレーニングは、能力改善の基礎となるリラックスの訓練からはいり認知視野の拡大をねらいとした種々のシート訓練、読書内容への集中を目的としたイメージ訓練・内容集中訓練を通じて、次第に集中を深め、最後に読書訓練の中で、集中した速読の状態を体験する、という基本的な流れを持っています。

BTRメソッドの理論的背景

 BTRメソッドは、'70年代から急速に発展した認知心理学の研究に多くその基礎をおいています。認知心理学は、コンピュータに人間と同じような情報処理の働きをさせるためのプログラムづくりの必要から、私たちの知覚、理解、思考などのしくみを解明しようとして生まれてきた学問です。なかでも、文字のパターン認知、文章理解の階層的構造、理解や記憶におけるイメージの働き・ワーキングメモリなどの研究・理論をもとにして、BTRメソッドは設計されています。また、能力開発という観点からは、自律訓練法や瞑想、イメージトレーニングなどの精神身体医学、臨床心理学からも多くを学んでいます。

 これらの学術的知見を裏付けとしつつ、具体的な訓練法として独自に開発・体系化されたのが、BTRメソッドです。

具体的に理解する

 下の太ゴシック文字(「問題A」)は、記号・句点・疑問符などすべてを入れて240字あります(一応便宜的に、すべてを文字数とカウントしています)。これを1秒で読めたら分間読字数は14,400字です。また、10秒で読めたら1,440字/分です。

 読むことができない文字はひとつもありません。しかし、ただ目を通すのではなく、文章内容を理解してください。そのとき、文章をカタマリで読んでも、一字一句すべてを読んでも、脳に焼きつけても、つまり、どんな手段を使ってもかまいません。

 2秒経過したら、7,200字/分となり、10,000字/分を達成出来なかったことになります。少しわかりやすくするため、問題部分は青字にしています(通常のトレーニングにはありません)。

 「問題A」よーい、スタート!

 ・CはAより強い。AはBより強い。一番強いのは?・AはBより太い。AはCより細い。一番太いのは?・BはCより高い。BはAより低い。一番高いのは?・AはBより深い。AはCより浅い。一番深いのは?・BはCより軽い。BはAより重い。一番軽いのは?・CはBより悪い。CはAより良い。一番良いのは?・CはAより狭い。BはAより広い。一番広いのは?・BはAより遠い。CはAより近い。一番近いのは?・CはBより遅い。AはCより遅い。一番速いのは?・CはBより短い。CはAより長い。一番長いのは?

 時間はどのくらいかかりましたか?

 素早く目を動かそうと、カタマリで読もうと、一字一句すべてに目を通そうと、あるいは脳に焼きつけようと、実は何も「問題」は解決していません。問いに答えてこそ、読んだ! わかった! と言えるからです。

 クリエイトのトレーニングで、この10問を1秒で解けるようにはたぶん、永遠に達成できません。そういう生徒さんは、きっと今後もひとりも現れないでしょう。

 クリエイトに入会していただくと、全員、30秒で全問正解できることを目指します。分間読字数は、たった480字。そして、クリアすると、さらに難しい「問題B」が登場することになります。

 文字の上っ面をただ見ていくことが、速読ではありません。理解してこそです。そのためには、当然、理解力向上のトレーニングが必要になることは言うまでもありません。通常、上記「問題A」テストの平均読書速度は、約100字/分です。10問を2分半ほどかかってしまいます(とくに、目の動きなどにこだわる方たちは遅い傾向にあります)。

 序盤の「認知視野の拡大の訓練」では、目を通せばすぐにわかる文章への読書速度を上げるトレーニングをしています。中盤の「読書内容への集中」では、ただ目を通しただけではわからない文章への抵抗力・耐性をつけ、読書に長く集中していられる力をつけるトレーニングをしています。

 この2つが用意されているため、BTRメソッドのトレーニングをした後は、難関試験対策にまで有効となってきます。

 受講生から2016年までに司法試験合格者65人輩出などできたのも、専門書・学術書に対しての速読力だけではなく、長時間の集中が続く耐久力を培うトレーニングがあったためです。