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【初心者向け】ロジカルシンキングとは。具体例を用いた簡単解説

更新日:2024年4月20日 公開日:2024年2月21日

ロジカルシンキング(論理的思考)とは

 ロジカルシンキングとは、筋道立てて根拠をつなげることで、説得力のある結論を導く思考法です。

 その大元は、経営コンサルティング業界で用いられる手法に由来します。

 ビジネスの世界では特に、筋道立った説明で相手を説得し、望む反応を引き出すことが目的とされます。

 参考:照屋 華子 岡田 恵子, 2001年 4月, 東洋経済新報社, 『ロジカル・シンキング

ロジカルシンキングができる人の特徴

説得力がある

 ロジカルシンキングが得意な人は、結論に至るまでの論理を明確にできるため、説得力のある主張を展開できます。

問題解決が得意

 問題解決には、問題に対して、適切な対策を講じる必要があります。

 対策を講じるプロセスは、ロジカルシンキングのプロセスと共通点が多いです。

 詳しくは、以下の記事をご参照ください。

 参考:問題解決能力とは。問題解決プロセスを4STEPに分けて解説。

情報の分析が得意

 ロジカルシンキングでは、手持ちの情報をもとに、主張を正当化する根拠を考えます。

 そのため、与えられた情報から、意味を抽出する能力とも関連があります。

ロジカルシンキングが求められる理由

 ビジネスでは、取引先との商談、上司への提案、報告書の作成など。

 文章か会話かの違いはあれど、いずれにせよ、コミュニケーションが必要不可欠です。

 他者と共に、物事を先に進めるためには、相手に自分の考えを理解してもらうことが必要です。

 筋道だった説明により、自分の考えに説得力を持たせるロジカルシンキングは、他者の協力を得るうえで、欠かせない能力なのです。

主張が伝わらないときのチェックポイント4選

 自分の主張が伝わらないときは、以下の4点を確認しましょう。

  • 答えるべきことに、答えているか?
  • 主張を支える根拠に、重複はないか?
  • 主張を支える根拠に、漏れはないか?
  • 根拠から結論に、飛躍はないか?

答えるべきことに、答えているか?

 たとえ的を射た主張だとしても、答えるべきことに答えていない場合、主張を取り扱ってもらえません。

 例1)「主人公の心情の変化を述べよ」という問いに対して「A→B」ではなく「B」と答えてしまう。

 例2)「新商品を開発するか否か」を決定する場で、「新商品は若者をターゲットにするべき」という趣旨のプレゼンテーションをする。

根拠に重複はないか?

 頭の中を整理できていないと、主張を支える根拠に重複が発生します。

 根拠に重複があると、考えの全体像を簡潔に示すことができません。

 また、同じ根拠が繰り返されることは、聞き手に悪印象を与えます。

 例)就活生が、「IT業界を志望する理由」を3つ考える。

  • ITは現代社会の基盤であり、常に成長しているから
  • IT業界は革新的なアイデアと製品で、社会にイノベーションをもたらすから
  • テクノロジーは今後の社会の進化に不可欠であり、IT業界に携わることで成長できるから

 これらは、表現こそ違いますが、「IT業界の成長性」という一言に集約され、根拠に重複が生じています。

根拠に漏れはないか?

 結論を支える根拠に明らかな漏れがあるままに、結論を主張してしまうと、主張は説得力を欠いたものになります。

 例)勉強時間をたっぷり確保したから、今回のテストでは必ず良い点がとれる。

 →テストの結果には、勉強時間以外にも、さまざまな要因が存在するため、根拠が不十分。

根拠から結論に、飛躍はないか?

 根拠から結論に至るまでに飛躍があると、主張は説得力を欠いたものになります。

 例)友達がスマートフォンを持ってるから、私も欲しい!

ロジカルシンキングのフレームワーク

 ロジカルシンキングには、根拠の重複や漏れ、論理の飛躍を防ぐための手法があります。

 ここからは、主な3つのフレームワークをご紹介します。

  • MECE
  • So What? / Why So?
  • ピラミッドストラクチャー

MECE

 MECEとは、根拠の重複や漏れをなくすための手法です。

 ものごとの全体像を、重なりなく、かつ、漏れのない、部分集合として捉えます。

 「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとった言葉であり、「モレなく、ダブりなく」を意味します。

 例えとして、スーパーの在庫管理担当のあなたが、新しい上司から、「このスーパーでは、商品をどのように仕入れているか」と質問されたケースを考えてみましょう。

 商品の仕入れは、野菜などの毎日仕入れるもの、隔日で仕入れるもの、季節に応じて仕入れるものなど、バラエティがあるはずです。

 「昨日は野菜・肉・魚を仕入れて、今日は野菜と肉だけです。明日は…」と思いつくままに答えた場合、網羅性を損なうだけでなく、上司の混乱を招くでしょう。

 そこで、MECEを意識して分類をしてみると、下図のようになります。

 

 仕入れを「定期的なもの」と「不定期的なもの」に分類し、「定期的なもの」を、さらに3つに分類しています。

 MECEに整理することで、仕入れの全体像を簡潔に示すことができます。

 MECEな分析方法として、ビジネスにおいては、以下のようなフレームワークが知られています。

3C分析

 3C分析は、企業や業界を、顧客(customer)、競合(competitor)、自社(company)の3つの集合に分けて捉える分析方法です。

4P分析

 4P分析とは、マーケティングの施策を、商品(product)、価格(price)、場所(place)、訴求方法(promotion)の4つの切り口で考える分析方法です。

SWOT分析

 SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの切り口で理解する分析方法です。

事実・判断

 物事を、客観的な事実と、主観的な判断に分けることも、MECEな分類方法の一つです。

 事実・判断では、物事を「事実・判断基準・判断内容」の3点で捉えます。

 事実:課題に対する結論を導くうえで共有すべき、客観的な情報

 判断基準:事実から結論を導くうえで適用するもの。目的に応じて、恣意的に設定する

 判断内容:事実を判断基準で評価した結果、どのように評価されるか、その内容

So What?/ Why So?

 So What? / Why So? は、根拠と結論のつながりを明確にし、論理の飛躍をなくすための手法です。

 So What?:根拠に対して「結局どういうことか?」と思考を働かせ、根拠から結論を抽出する作業

 Why So?:結論に対して「なぜそのようなことが言えるのか?」と思考を働かせ、用意した根拠によって結論が支えられていることを確認する作業

 この二つの作業を繰り返すことで、結論と根拠のつながりを明確にすることができます。

ピラミッドストラクチャー

 ピラミッドストラクチャーは、ここまでに紹介した二つのフレームワークを、組み合わせて可視化する手法です。

 上段から、課題・結論・根拠、と配置をします。

 根拠をMECEに整理したうえで、根拠と結論の繋がりを、So What? / Why So?の繰り返しで強固にします。

『ロジカル・シンキング』

 本書は、マッキンゼー・アンド・カンパニーで、コンサルタントや顧客を対象に、ロジカルシンキングの講習を企画・実施していた著者による、ロジカルシンキングの入門書です。

 ロジカルシンキングは、説得力のある主張を組み立てるうえで、強力な武器になります。

 しかし、その実用性ゆえに、枝葉のフレームワークが喧伝されることが多い分野でもあります。

 そもそもロジカルに考えるとはどういうことなのか。

 じっくりと解説を読み、枝葉のフレームワークに踊らされることなく、根幹の考え方を学びたい人に、お薦めの一冊です。

 参考:照屋 華子 岡田 恵子, 2001年 4月, 東洋経済新報社, 『ロジカル・シンキング

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