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短期記憶とは。長期記憶との違いやマジカルナンバーについて

更新日:2024年4月20日 公開日:2024年2月28日

短期記憶とは

 短期記憶とは、情報を保持する一時的な貯蔵庫のことです。

 出典:鈴木 宏昭, 2016年1月, 東京大学出版会『教養としての認知科学

短期記憶と長期記憶の違い

記憶には3種類ある

 記憶は、大きく以下の3種類に分けられます。

  • 視覚や聴覚といったそれぞれの感覚器官から入力された情報を保存する感覚記憶
  • 一時的に数個程度の情報を保存する短期記憶
  • 半永久的に大量の情報を保存する長期記憶

 出典:道又 爾, 北﨑 充晃, 大久保 街亜, 今井 久登, 山川 恵子, 黒沢 学 (著), 2011年12月, 有斐閣アルマ,『認知心理学――知のアーキテクチャを探る〔新版〕

勉強における記憶の種類

 3種類の記憶を、一つずつ勉強での具体例に置き換えてみましょう。

 感覚記憶の例として、教科書を開いて文字を目に入れてはいるものの、内容を理解しているわけではないという状態が挙げられます。これは視覚情報の感覚記憶で、アイコニックメモリと呼ばれます。一方、同じ感覚記憶のうち聴覚情報によるものは、エコイックメモリと呼ばれます。アイコニックメモリは1秒程度、エコイックメモリは5秒程度と、保持される時間が短い感覚記憶は、意識されないことがほとんどです。

 感覚記憶のうち、覚えようと意図された情報が、短期記憶に入ります。授業の小テストの前に集中して英単語を覚えて、その日の終わりにはすっかり忘れているといった事例は、短期記憶に該当します。

 長期記憶は長期にわたって情報を保持することができ、容量も大きい点が特徴です。手元で情報源にあたることが認められない試験では、長期記憶に入った情報を武器に戦うことになります。

短期記憶から長期記憶への移行プロセス

 短期記憶の情報は、数十分程度で失われます。

 永続的に情報を利用するためには、長期記憶へ情報を送り込む必要があります。

 そのためには、覚えるべき情報を意図して繰り返す必要があります。これをリハーサルといいます。

短期記憶とチャンキング

 短期記憶の容量は、人によってある程度決まっています。

 しかし、工夫することで、効率よく多くの情報を記憶することができます。

マジカルナンバー

 マジカルナンバーとは、短期記憶の容量とされている数のことです。

 たとえばN, H, K, T, B, S, L, I, N, Eのような無作為な情報を呈示したとき、人が一度に覚えられる情報量は、4±2とされています。稀に、大量の情報を記憶することができる人もいるものの、ほとんどの人は同じくらいの容量です。

 しかし、日常生活では、記憶が得意な人に出会うことがあります。

 短期記憶の容量に差がないとしたら、なぜ記憶量に差が生まれるのでしょうか。

 そのカギとなるのが、チャンキングです。

チャンキング

 チャンキングとは、複数の情報に何らかの繋がりを作り、まとまりとして理解することです。

 例として、先ほどのアルファベットの並びを見てみましょう。

 N, H, K, T, B, S, L, I, N, Eという、ランダムに並んだ10個のアルファベットを覚えることは困難です。

 しかし、NHK / TBS / LINEと区切ってみると、どうでしょうか。

 ランダムに並んでいたアルファベットが、意味をもった3つのかたまりへと整理され、格段に覚えやすくなります。

 これがチャンキングです。

 歴史年号を語呂合わせで覚えることや、数学の公式を導出手順から理解したうえで覚えることも、チャンキングの一種です。

 記憶の容量は同じでも、記憶の仕組みを理解することで、必要な情報を効率よく覚えることができるようになります。

 参考:道又 爾, 北﨑 充晃, 大久保 街亜, 今井 久登, 山川 恵子, 黒沢 学 (著), 2011年12月, 有斐閣アルマ,『認知心理学――知のアーキテクチャを探る〔新版〕

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