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OODAループとは。PDCAサイクルとの違いを解説

更新日:2024年4月20日 公開日:2024年3月23日

OODAループとは

 OODAループとは、「的確な状況把握」と「迅速な意思決定」を目指すフレームワークです。

 Observe(観察)、Orient(状況把握)、Decide(意思決定)、Act(行動)の一連のループを繰り返します。

OODAループの起源は米軍

 OODAループは、米空軍パイロットであり軍事戦略家のジョン・ボイド氏が、1950年代に考案した意思決定のフレームワークです。

 ボイド氏は戦闘機パイロットとしての経験から、敵より優位に立つには、的確な状況把握と、迅速な意思決定が重要であると考えました。

 こうした考えから生まれたのが、観察(Observe)、状況把握(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)、4つのプロセスの繰り返しにより、敵より一歩先んじた行動を実現するOODAループです。

 1980年代、経営学者のトム・ピーターズ氏が企業経営における意思決定の枠組みとしてOODAループを紹介したことにより、軍事戦略として生まれたOODAループは、ビジネスの世界でも注目を集めるようになります。

 ピーターズ氏は、「変化の激しい現代のビジネスでは、的確な状況把握をもとに、意思決定と行動を繰り返すことが競争力の源泉になる」と主張しました。

 参考:チェット・リチャーズ(著), 原田 勉(訳), 2019年2月, 東洋経済新報社, 『OODA LOOP

OODAループが注目される理由

 OODAループが注目を集めている背景として、VUCA(ブーカ)が挙げられます。

 VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの頭文字からなる造語です。

 VUCAは、現代社会が目まぐるしく変化し、予測困難な状況であることを指すのに用いられます。

 OODAループは、予測しづらい現代社会において、的確に状況を把握し、最適な意思決定を助ける手法として、注目を集めています。

OODAループとPDCAサイクルの違い

 PDCAサイクルとOODAループは、どちらも目標達成のためのフレームワークです。

 しかし、対象とする時間軸の長さに違いがあります。

OODAループ

 OODAループは、目まぐるしく変わる戦場における意思決定の手法に起源があり、短い時間軸を前提としています。

 試験本番でわからない問題に遭遇した場合などに、活躍するフレームワークです。

 (例)ぱっと見で解けない数学の問題に遭遇した

  1. Observe:問題文をよく読み、条件をおさえる
  2. Orient:これまでに学んだ知識を思い出し、問題とつきあわせる
  3. Decide:解法を決定する
  4. Act:手を動かしてみる

PDCAサイクル

 PDCAサイクルは、経営における品質管理の手法に起源があり、長い時間軸を前提としています。

 参考:PDCAサイクルとは。

 学習計画を立てる場合などに、活躍するフレームワークです。

 (例)定期試験に向けて、英語の学習計画を立てる

  1. Plan:単元別に取り組む教材と時間を決める
  2. Do:立てた計画を実行する
  3. Check::試験結果を分析する
  4. Act:結果を踏まえて次の計画を立て直す

OODAループのメリット

柔軟性がある

 OODAループは、最初のステップが観察から始まる点が特徴的です。

 そのため、状況が変化したとしても、すぐに観察の段階へ戻り、柔軟に対応することができます。

迅速に意思決定ができる

 OODAループは、刻々と変化する戦場で迅速に意思決定を行うために開発された手法です。

 PDCAサイクルと異なり、「計画」の段階がないため、状況に応じて迅速に意思決定することができます。

OODAループの4つのステップ

 数学の問題を例に、OODAループの4つのステップをみていきましょう。

 
 「n^3-7n+9」が素数となるような整数nをすべて求めよ。
 (2018年京大 文系第3問・理系第2問)
 

Observe(観察)

 最初のステップは「観察」です。現状や環境の変化を注意深く観察し、情報を収集する段階です。

 解法がイメージしづらい問題です。まずは具体的な数字を代入することで、情報を集めしょう。

  • 与式末尾の「9」は3の倍数
  • n=0のとき、9
  • n=1のとき、3
  • n=2のとき、3
  • n=3のとき、15

Orient(状況把握)

 次のステップは「状況把握」です。観察した情報をもとに、自身の経験や知識に照らし合わせて、状況を適切に把握します。

  • どんな整数nを入れても、3の倍数になりそう
  • 3の倍数となることが証明できれば、素数は3だけとなる

Decide(意思決定)

 3つ目のステップは「意思決定」です。把握した状況を踏まえ、次にとるべき行動を決めます。

 本問では、与式が3の倍数であることが証明できれば良いので、

  • 法を3として、n≡0,1,2で場合分け 
  • (n-1)n(n+1)を利用して、式変形

 などが解法として考えられます。

Act(行動)

 最後のステップは「行動」です。意思決定した内容を実行に移します。

 実際に計算を進めていく中で、行き詰まりを感じた場合は、前のステップに立ち戻り、軌道修正をしましょう。

 3の倍数であることが証明できれば、3の倍数のうち、素数は3だけとなるため、「n^3-7n+9=3」を解いて終了です。

OODAループに関するお薦めの書籍

『OODA LOOP』

 フレームワークを活用するうえでは、目的や運用方法などを理解することが重要です。

 本書は、OODAループの提唱者ゲイド氏の弟子である、チェット・リチャーズ氏によるOODAループの入門書です。

  • アメリカの優良企業でOODAループが広がる理由
  • OODAループを組織に取り入れる方法
  • OODAループの具体的な実践方法

 すでにアメリカで古典として扱われている本書は、初めてOODAループを学ぶ方に最適です。ぜひ、ご一読ください。

 参考:チェット・リチャーズ(著), 原田 勉(訳), 2019年2月, 東洋経済新報社, 『OODA LOOP

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