2008-03-06
なおしのお薦め本(47)『運に選ばれる人 選ばれない人』
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。
麻雀で20年間無敗という著者。なにかカラクリがあるのだろうくらいに思っていましたが、本を読んでビックリ。それどころではありません。とんでもない人物、大人物です。麻雀に興味がない人でも、この人にはきっと興味を持つことでしょう。
まえがきに「この本では運とかツキについて、私自身の勝負人生から学んだことをベースに考えうるあらゆる角度から綴ってみました」とあります。どこを引用していいか迷いましたが、二箇所えらびました。まずは、小人物にも参考になるところから読んでみてください。
「調子がいいとすぐ浮かれて『これが自分の実力だ』と思ったり、それを吹聴したくなるのが人間です。逆に悪い時は『いや、これは自分の本来の出来ではない』と言って素直に調子の悪さを認めようとしません。
たまたまツイて好調だったりすると『これが実力なんだ』と思いたくなるのに、不調な時は『たまたまツキがなくてそうなんだ』と思い込もうとするのです。人間の心理は、なるべく自分の都合の悪いところを見ないように正当化するクセを持っています。
しかしどんな形であれ、不調もその人の実力の反映です。
私は『不調こそ、我が実力』と思うようにしています。そう思っておくほうがいざ調子が悪くても余裕が生まれます。
『とべ蛍 野良同然のおらが家』という一茶の句があります。自分の家は野良同然だと言うのですが、本当にそう思えば、家がつぶれても会社がつぶれてもスランプにはなりません。そういう気持ちが少しでもあれば、たとえ少しくらい給料が減ってもあまり動揺はしないはずです。
調子のいい時に『これがまさしく自分の実力なんだ』と浮かれていたら、不調になった時に慌てることになります。調子の悪い時に『偶然そうなんだ』と思ってしまえば、不調を立て直すきっかけを失います。
どちらも不調を長引かせ、スランプを大きくする羽目になります。
『不調な時こそ実力』と思っていれば、調子がよくても浮かれることがなく、反対に調子が悪ければそうと認めて素早い対応が出来るわけです」
では次に、著者が勝ち続けた理由がわかる(ようなわからないような)ところから引用します。
「勝負であれば誰しも勝ちたいと思います。わざわざ負けたいと思う人などいないでしょう。
しかし今の世の中は、勝ちを求めながら、結果的には負けるほう負けるほうへと進んでいっているように思えてなりません。
私がそもそも『雀鬼会(著者の主宰する麻雀指導の会)』を始めたきっかけは、『なんでみんなが負けるほうに努力しているのだろう』と思ったからです。私から見ると負ける麻雀をみんな一生懸命打っています。
私が強かったわけではなく、他の人たちが負ける麻雀を打ってくれたおかげで私が勝ち続けただけなのです。
人だけでなく世界中の国も負ける努力をしているように感じます。たとえばイラクとアメリカが戦ってアメリカは勝ちました。
しかし、どっちが勝っても人類全体から見れば、戦争をすること自体がすでに負けなのです。人類の歴史は戦争の繰り返しですが、たとえ戦争に勝ってもそれは一時の勝利にすぎません。アメリカの考え方をしっかり勉強すれば、アメリカ流の勝ち方は出来るでしょう。しかし、それは地球や人類すべての勝ち方にはならないということです。
どちらかが負けてどちらかが勝つ、そういうレベルの勝ち方はある程度マニュアル化できます。上手に勝ち方のマニュアルを真似すればそこそこ勝てます。しかし、それは、実は一方で気がつかない負けを同時に背負い込むこともあるのです。
『ほんとうに勝つとは何か』『勝ち負けを超えた強さとは何か』その答えを求め続けることが大事なのです」
この本には、麻雀の枠内には収まりきらない話がてんこもりです。オススメ本というより、オススメ人物ですね。
なおし
■参考記事
※もりぞう爺さんの話(上)
