2013-12-30
本文を何度も読み返した
第60期文演(13/9/28~12/7)アンケートです。
きょうは、東大工学部の学生Mさんです。
Mさんの文演アンケート
Q.1 当講座をどんな目的で受講しましたか?
A.1 要点を抑えた良い文章を速く書けるようになりたいと思い、受講した。小学生の頃から国語が得意でなく、特に文章を書くことに対し苦手意識を持っていた。書き始めからなかなか筆が進まず、完成するまで人一倍時間がかかる上、文章のできに納得いかないことが多かった。今後書く機会が増えるだろうから、なんとか苦手を克服したいと思っていたところ、文演の存在を知った。文演で基本作法や着眼点を学べば、多少書く力が身につくのではないかと期待した。
Q.2 「文演」を受講して文章への印象で変わったことがありますか?
A.2 文章は考えや経験などを他者に伝えるためのものである、ということを強く意識するようになった。思いにまかせて表現するのではなく、第三者である読み手の視点を配慮して書きたい。
安易な言葉でごてごて飾り立てて押しつけるのはいけない。強い単語を並べ立てても、思いは少しも響かない。メッセージを届けるには、文章全体の構成からひとつひとつの描写まで、丁寧に考え、言葉を緻密に積み重ねることだ。文演を通してそのことを深く実感できた。
Q.3 宿題の「要約」はどうでしたか?
A.3-1 「授業前」 妥協はしたくないと思い、数日にわたって合計約半日分の時間を費やし完成させた。全体の流れを設計し、それを文章に起こすところまでは比較的順調だった。ただ、行数が要求に全く達していなかった。
苦労したのはそこからだ。書いては消し、書いては寝かし、読みなおしては書き直すことの繰り返しだった。本文の内容と要約に齟齬がないかを確かめるため、本文を何度も読み返した。どの程度具体例や比喩を盛り込むか取捨選択し、浮いた表現や浮いた部分がないようバランスを整えることに腐心した。
要約がかくも神経を使う作業であるとは思っていなかった。書き終えて提出したときは、肩の重荷が下りたようでほっとした。
A.3-2 「授業後」 他の受講生に対する松田さんの指摘を聞きながら、あの内容を盛り込むべきだった、ここはもっと削れた、あっさり書けばよかった、とつぎつぎ考えが浮かび、反省をしていた。どう指摘されるか身構えていたが、意外にも褒めていただいたので、嬉しかった。自分の姿勢や方針に大きな誤りはなかったと思い、少し自信を得た。みなさんの作品を読み、松田さんの話を聞いて、同じ要約でもさまざまな構成やバランスの取り方が可能だと知った。以下省略。
Q.4 全体的な感想をお聞かせください。
A.4 実りある濃密な講座だった。与えられた文章をどう直すか、事前に考えてもよく分からなかったが、授業で松田さんの的確な指摘を聞くと、とても納得できた。毎回新しく吸収することばかりで楽しかった。
講座を通して、できるだけ発言するように心がけた。目障りに思った方もいたかもしれない。余計な発言はあっただろう。だが、あえてそれらを気にしすぎないようにした。何を発言するか考えることで、教えが頭に入りやすく、記憶に残りやすくなると思った。内容を簡潔にまとめ発言することは、言葉を鍛える良い練習になるだろう。余分なことを口走ったり、的はずれなことを言ったりして、反省することは多かったが、得るものはあった。
文章について学ぶことで、日本語に対する関心が深まった。この空をどのように描写するだろうか、あの人の格好はどう言い表せるかなど、言葉での表現法について日常の中でしばしば考えるようになった。自分の表現力がいかに貧弱で、作家の言葉使いがいかに豊かであるかと感じる。良い文章をたくさん読んで吸収し、言葉を磨き続けていきたい。
「本文を何度も読み返した」は重要です。物書きには、原文・本文がすべてですから。
「以下省略」部分は、文演進行上のものです
「要約」同様、バランスのとれた魅力的な学生さんでした
最終回、駅までMさん・GGさんと3人で帰りました(「後記」GGさんは、一浪してMさんの後輩になっています
)。
『文演を紹介してくれた○○○さんは具体的なこと教えてくれなかったでしょ』と聞くと、「ハイ、『面白いよ』だけでした。○○○はいま大学院にいます」と話してくれました。
Mさんもこれから大学院で勉強するとのことでした。
今年最後のブログになります。
1年間、ありがとうございました
どうぞよいお年をお迎えください。
教室は、新年1月4日(土)午前10時~の通常通りです。
真
・2013-03-13「工夫しながら辛抱強くやっていくだけだ」
