2007-04-02
なおしのお薦め本(12)人生を変える力
マーティン・コー著
まっ赤な表紙にこの題名。帯にはさらに大きな文字で「30分で人生が変わる本」とあります。30分で人生が変わってしまっていいのか? という疑問が生まれましたが、その下に小さな文字で「『十二番目の天使』オグ・マンディーノ絶賛!!『自己啓発文学の最高傑作』初の邦訳」とありまして、そんなに高い評価を受けている本ならと読んでみることにしました。
30分で読める本ですから、むずかしい話はありません。ですから、さらにそこからエッセンスを取り出して紹介してしまうと、「なんだ、そんなものか」と思われてしまう危険があります。そういうわけで、教訓話をひとつ紹介するだけで終わりにします。
「アレキサンドリアの大図書館が焼けたときの話です。
その火事のあとで、一冊の本だけが焼けずに残りました。しかしそれは特別な本ではなかったので、結局、満足に字も読めない貧しい男がコイン何枚かで買い取ることになりました。
たいして面白い本ではなかったのですが、一つだけたいへん興味深いことが書かれていました。『タッチストーン』の秘密が書いてあったのです。
タッチストーンとは、単なる金属を純金に変えることができる小石です。それは、黒海の岸辺で、何万という同じような小石の中に埋もれていると書いてありました。
そして、その秘密とはこうです。普通の小石は冷たいのですが、その石だけは温かいというのです。
男は少ない持ち物を売り払い、必要最小限の物だけ手に入れ、岸辺に野宿しました。そして小石のチェックを始めました。
彼は、同じ石を何度も拾うことを避けるために、冷たい石は海に放り投げることにしました。彼はこの作業を一日中行いましたが、どれもタッチストーンではありませんでした。一週間過ぎ、一ヶ月過ぎ、一年過ぎ、そして三年が過ぎましたがタッチストーンは見つかりません。しかし、彼は同じ作業を続けました。小石を拾い、冷たいので海に投げる。その繰り返しです。
とうとうある朝、彼は温かい小石を拾いました。しかし、それを海に放り投げてしまったのです。
いつの間にか、彼は石を海に投げる『習慣』を身につけてしまっていました。石を海に投げるのが習慣になっていたので、探していたものを手に入れたにも関わらず、それを投げ捨ててしまったのです」
なおし
