2009-02-12
なおしのお薦め本(81)『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。
西原 理恵子著
題名を目にすると?マークが浮かびますが、これは著者が実体験から言い切っているものです。引用します。
「あのね、『貧困』と『暴力』って仲良しなんだよ。
貧しさは、人からいろいろなものを奪う。人並みの暮らしとか、子どもにちゃんと教育を受けさせる権利とか、お金が十分にないと諦めなければいけないことが次から次に、山ほど、出てくる。それで大人たちの心の中には、やり場のない怒りみたいなものがどんどん、どんどん溜まっていって、自分でもどうしようもなくなったその怒りの矛先は、どうしても弱いほうに、弱いほうにと向かってしまう。」
お金に困ったことのない人には決して書けない話です。
貧困から脱出する方法として、著者は仕事をすることの大切さを説きます。二か所、引用します。
「何でも仕事をはじめたら、『どうしてもこれじゃなきゃ』って粘るだけじゃなくて、人がみつけてくれた自分の『良さ』を信じて、その波に乗ってみたらいい。
わたしの場合も、人から『あれ描いて』『これ描いて』って注文されて、断らずにやっているうちに『このあいだのアレ、おもしろかったよ』『こういうのをまたやりましょう』って、ウケるほうに、食べていけるほうに、仕事が寄っていった。そうなると、ひとつの仕事が次の仕事を呼んで、仕事の道ができていく。
だから、わたしは思うのよ。
『才能』って、人から教えられるもんだって。
いい仕事をすれば、それがまた次の仕事につながって、その繰り返し。ときには自分でも意識的に方向転換をしながら、とにかく足を止めないってことが大事。
そうやっているうちに、わたしにも、自分の道がだんだん、ハッキリ見えてきた。
わたしはやっぱり、人を笑わせるのが好きなのよ。
わたしが描くものを見てくれた人が、その日のしんどかったことを忘れて笑ってくれたら、それが最高だって思った。」
仕事について、もうひとつはこれです。
「どこかに、自分にしっくりくる世界がきっとある。
もし、ないとしたら、自分でつくっちゃえばいい。
働くって言うのは、つまり、そういうことでもあるんじゃないかな。
仕事っていうのは、そうやって壁にぶつかりながらも、出会った人たちの力を借りて、自分の居場所をつくっていくことでもあると思う。
威勢がいいように見えて、わたし、ホントはものすごいクヨクヨする人間なのよ。
でも、どんなに落ち込んだときでも、働いて、千円でも二千円でも、五千円でも一万円でも稼げば、『よしっ、あれ、買っちゃうか』って、なるでしょ?
働いていれば、人間、そんなにものごとを悪く考えたりはしないものよ。」
最後に、もう一か所引用します。
「だから大事なのは、単に『カネ』があるってことじゃない。
働くこと。働きつづけるってことが、まるで『自家発電』みたいに、わたしがその日を明るくがんばるためのエンジンになってくれたのよ。」
著者のファンにとっては、作品の舞台裏を明かしてくれる本としてありがたいものです。そうでない人にとっても、強烈な実体験を元にした働き方指南書として読む価値ありだと思います。 なおし
