2007-07-17
なおしのお薦め本(27)「風になれ」1
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。 文字数(行数)がgooブログの1回の量を超えますので、2回に分けて投稿します。
『風になれ』
この本は、プロレスというジャンルに興味があるすべての人にオススメできます。内容は、昨年プロレス大賞を獲った鈴木みのるへのインタビュー(聞き手は元週間ゴング編集長の金沢克彦氏)です。
鈴木みのるは、アントニオ猪木の新日本プロレスに入団し、前田日明のUWFに移籍、次に藤原喜明の藤原組に参加。離脱して、自らパンクラスという完全実力主義の団体を旗揚げします。トップに立ちますが、首のケガにより同団体から離れ、新日本プロレスに復帰。現在はフリーで、全日本プロレスの王者です。
では、二箇所だけ引用します。まず、アントニオ猪木の付き人をしていた頃の話から。
「━━(金沢氏の言葉)一番印象に残っていることっていうのはなんだろう? やっぱり気構えなのかな?
『気構えですね。よく「プロレスは闘いだ」とか言うじゃないですか? その原点的なことをよく話してくれましたね。当時、一緒にランニングとか行くじゃないですか? すると突然殴りかかってくるんですよ。「よけちゃいけないのかな……」と思ってあたるじゃないですか? そうすると、「なんで当たるんだ? だからお前はダメなんだ!」って言われて』
━━ランニング中も気が抜けないんだ。
『で、そのうちよけるようになって……そうだ、2年ぐらい前、札幌で会ったんですよ。俺と高山が組んで、天山、西村とタッグのタイトルマッチをやったときですよ。あのとき、控え室でチラッと会ったんですよね。「ご無沙汰しております。鈴木です」って言ったら、笑いながら近づいてきてポーンって腹にパンチが来たから、フッと力入れてバシッて手で払ったら、「おっ、分かってんな!」って言われて。それは嬉しかったですね』
━━いいねえ。
『でもよけられて悔しかったはずですよ(笑)。「そばに来たら絶対よけてやろう」っていまも思ってますから。“闘魂注入(猪木のビンタのこと)”とか絶対させない。されちゃいけないと思ってます。されたら確実にあの人の下につかなきゃいけない、見下されると思ってるんで。いまでも突然バッと来たら、常によけてやり返すつもりでいなきゃいけないと思う』
━━20年経っても猪木さんは覚えてたんだね、やっぱね。
『それも嬉しかったですね。「あ、あのときと同じだな……」とか思った。そういう経験をね、いまでこそあれですけど、アントニオ猪木という日本のプロレスの基礎を作った人と直接できたというのは、自分にとってものすごく財産ですよね。そういうのもあっていまの自分があるから』」
朝日新聞7月10日の夕刊に、格闘技のコラムが掲載されていました。「暴走王小川目覚めた」という大見出しに、「試合後、猪木が気合注入猛烈ビンタ」という小見出し。「プロレスラーの小川直也とアントニオ猪木との師弟関係が3年ぶりに復活した。猪木の新団体の興行に参加。完勝のあとで師匠からビンタをもらうと『目を覚まさせてもらいました』と感謝していた」とあります。小川直也と鈴木みのるの意識の違い、それは途轍もなく大きいと思いました。 ―続く―
