2007-05-10
なおしのお薦め本(20)瞬間・交笑術。
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。
『瞬間・交笑術。』
溝端隆三・徳田神也共著
-大人を笑わせる23の法則-という副題がついています。
背表紙に「笑わせて、ビジネス&恋に勝つ」と小文字で書かれていますので、買うのに勇気がいるかもしれません。
23の法則とはどんなものかといいますと、
「できる限り大げさに感情を表現する」とか、
「自由な擬音で笑いを取る」とか、
「方言を使う」とか、
「女性にはツッコミのいらない『ボケ』が効く」とか、
「大人のための『民族ジョーク』」とか、そのようなものです。
実際に使えそうなものからそうでもなさそうなものまで、いろいろですね。おそらく、読む人によって役立つ法則が違うのでしょう。
読んでいて、「これは」と思える箇所がいくつかありました。
まず紹介したいのが、オチのない話についてです。引用します。
「会話の多くは簡単な説明と簡単な描写、そして贅沢なときに、やっと簡単なオチがつく程度です。ではいったいどれほどの人が各会話の最後にオチをつけているのでしょうか?
日常生活での会話を検証していくと、きっちりと『これがオチである!』と断言できるようなオチがついている話にめぐり合うことはまずありません。それなのにどうして『オチのない話』をする人はこんなにも『で? オチは?』などと吊るし上げられ、『おもしろくない』というレッテルを貼られなければならないのでしょうか?
そこには、ごくごくわかりやすい原因がありました。それは、彼らが会話を始める際に、いかにも『オチ』を期待させるような話し方で始めてしまうからです」
あっさり書いていますけど、コレという原因をはっきりと示しているのは凄いことではありませんか。ここだけで、この本を読んだ甲斐があったと思いました。
次は、ノリツッコミの仕組みについてです。引用します。
「原則は『一度相手のセリフを受け入れること』です」
「その受け入れている部分がノリツッコミの『ノリ』に当たります。波に乗る、流れに乗っかる、ノリにノッてる…という場合の『ノリ』と同じです」
「あくまで『まずはノリが必要』ということを常に頭の中に置いておいてください」
それからどうするかというと、「どんどん自虐的に進めていけばよいのです。まるで他人事のように、相手が与えてくれた方向性に『わが意を得たり』とエスカレートさせていきましょう」とのことです。
「さて、ノリツッコミが完全に成立するには後半部分、『ツッコミ』が必要です。『ノリ』だけでは、あなたはただの悪ふざけ人間になってしまいます」
ツッコミとは「最終的に相手の発言を否定する」ことです。
「話し相手はあなたが『ノリ』の最中、次に『ツッコミ』が入ることを予想していません。知らずに『ああ、認めている』あるいは『ああボケている』という程度の認識しかしていません。いわば、油断しているのです。ですから、滑らかに繰り出された『ノリツッコミ』が相当な威力を発揮します」
いかがでしたでしょうか。最後に、付録として、交笑術の最強トレーニング法が紹介されています。それは「自分で自分を笑わせること」だそうです。
「人を笑わせようと思って発する言葉は、基本的に自分でも『おもしろい』と思っていることですよね。つまり『人を笑わせる』ということは自分で自分を笑わせることと同じことなのです。自分が大しておもしろいと思わない話を、だれが笑って聞いてくれると思いますか? もし、そんなシチュエーションに陥った場合、それは笑わせているのではなく『笑われている』ということにほかなりません」
著者は「自分を楽しませるネタ作りのためのお題」を五つ用意してくれています。その一つが「言ってはいけないセリフ」を考えることです。例題と答えの例を紹介します。
「俺、実はガンなんだ…」と友人に告白されたときのひと言
「じゃあ、CD返さなくていいよね?」
結婚式で友人代表としてひと言
「おふたりには、幸せには妥協も必要ということを教えていただきました」
恋人の実家で両親に会って最初のひと言
「お金が借りられるって聞いたんですけど」
著者は「読者のみなさんがお気づきの通り、例の回答もさることながら、お題自体が最低ですね。ぜひ、自分がいかに最低かを笑い飛ばしてみてください。よくもこんなひどいことを考えつくものだと」こう続けています。
ここまで書けるというのは、並大抵なことではありません。著者はかなりのリスクを背負って書いたのですから、このようなことを面白がれる読者に向けて引用させていただきました。気分を悪くされた方には、申しわけありません。
なおし
