2007-11-26
なおしのお薦め本(42)『「この字いいね」と言われる字が書けるようになる本』b
次に、コンプレックスの解消法について紹介しましょう。
第一のコンプレックスについては、「鮮烈な印象を与える書芸作品は、本質的に実用に乏しく、日常性を離れている」のだから、「そんなものに惑わされず、『自分の字』を改めて見てほしい」と説きます。
第二のコンプレックスについては、筆順と字形に関して、平がな・片カナ・漢字に分けて、間違えやすい例を挙げて説明しています。私も、片カナの「ヲ」や漢字の「成」の書き順を誤って覚えているのを発見しました。著者は、「この再学習によって、未来の書写活動に、自信がもてるようになるのです」、「簡単すぎる方法だから、今まで、誰もあなたにこんな提案をしなかったのでしょう。とにかく、実体験してほしい。何かが変わります」と自信満々に説きます。
第三のコンプレックスについては、字形を整えるための技術的なことが書かれているのですが、それは割愛します。すぐに役立つと思われるのが、その前の段階の「筆記具の正しい持ち方」の紹介です。部分的に引用します。
「親指は、筆記具に対してほぼ直角に。横から支える程度の圧を加える」
「人さし指の第一関節の横に親指の指先がかかるように。これがもっとも大切」
本には写真があるのでわかりやすいのですが、わかっていただけたでしょうか。
第四のコンプレックスについては、①『はね・はらい』は語る ②右上がり・右下がり③正方形・縦長痩せ型長方形・横長扁平長方形 ④その他の書き癖 という分類で、文字と性格の関係について書かれています。
この本には、著者が評価する手書き文章がたくさん載せられています。たとえば、会津八一、高村光太郎、吉川英治などのものです。これを見ると、文字には性格が表れるものだとつくづく感じます。著者は、それらを手本に真似して書くこと「臨書」を勧めています。
臨書の要点は、次のとおりです。
「近代・現代の著名人から、あなたの好きな書を選び出す。
あなたの折々の心境に対応できる書を選んでおく。
書風や字形を真似ることに終始せず、人格・気分を学ぶようにつとめる。
用紙や筆記具は、手近にあるもので十分」
ずいぶん気楽な臨書の勧めですが、やってみると楽しいものでした。
この本は、まさに“使える本”です。書き文字に少しでも興味のある方には、ぜひオススメします。
なおし
■小川なおしさん参考記事
オマケ
(読まれることが前提の文章です)
―なおしのメール―
松田さん、こんばんは。
またしばらくごぶさたしてしまいました。さて、前回の予告とは違ってしまったのですが、本の紹介文ができました。添付します。
