なおしのお薦め本(99)『大人のための才能開花術』 | 教室ブログ by クリエイト速読スクール

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2010-02-07

小川なおし「作品」&お薦め本

なおしのお薦め本(99)『大人のための才能開花術』

 クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。


大人のための才能開花術

         
ジュリア・キャメロン著 鈴木 彩織訳



 

 原題は『THE ARTIST’S WAY』。

 創造力を発揮する方法を教えるワークショップ12週に渡る)の講義内容がまとめられています。

 では、筆者の勧める基本ツールのひとつ〈モーニング・ページ〉を紹介します。

 《簡単に言えば、手書きで三ページ分の文章を書いて、意識の流れを忠実に再現することだ。たとえば、「あらやだ、また朝がきちゃった。書くことなんて何にもないのに。カーテンを洗濯しなくちゃ。クリーニングはとってきたんだっけ? あれもしなくちゃいけないし、これだって……」といった調子で。身も蓋もない言い方をすれば、頭脳の流出と呼んでもいいかもしれない。それが主要な役目の一つだからだ。

 〈モーニング・ページ〉には正しいやり方などない。とりとめもないことをつづっていくのは、作品をつくるためではないからだ。執筆でさえない。この点を強調するのは、作家以外の人にも安心して取り組んでもらいたいからだ。書くことは一つのツールにすぎない。〈モーニング・ページ〉とは、ただ単に、紙の上で手を動かして、頭に浮かんだことを一つ残らず書いていく作業でなければならない。》

 この〈モーニング・ページ〉には決まりがあります。《読んでもかまわないのは書いた本人だけ。その本人も、最初の八週間ほどは読み返さないこと》と。

 怪しげな話だとお思いの方は、以下の文章もお読みください。

 《創造力は━━人間と同じように━━暗闇の中で生を受ける。まずはそのことを認識しておくこと。創造力というと、「そのときパッと光が灯って、これだって思ったんだ!」というたとえ方をされることが多い。たしかに、洞察は閃光のようにおとずれるかもしれない。その閃光の中には、目が眩むほどまばゆい光もあるというのも本当のことだ。と同時に、そういったアイデアには、明るく輝く前に内部の暗闇でじっくりと成長していく時間があったというのも本当のことだ。その時間は絶対に必要なものだ。

 わたしたちは、よく、アイデアのことを創造力の産物と呼ぶ。わたしたちが気づいていないのは、ブレーンチャイルドも、本物の赤ん坊と同じように扱ってあげなくてはならないということだ。予定日がこないうちに〈創造力の子宮〉から引きずり出すようなまねをしてはならない。アイデアというものは、鍾乳石や石筍と同じように、意識の奥にある暗い洞窟の中で形をなしていく。滴る水に穿たれてできあがるもので、四角い建築用ブロックでつくるものではない。わたしたちはアイデアが誕生するのを待つことを学ばなくてはならない。ガーデニングにたとえれば、無事に育っているかどうか確かめるために根っこを引っぱるようなまねをしてはならないということだ。

 〈モーニング・ページ〉は、アートを感じさせないアートといえる。ばかを言ってふざけ、いたずら書きをする。そうやってゆっくりとアイデアは形になりながら、いずれはわたしたちが光を見るための手助けをしてくれる。ここでよく起こるのが、アイデアが有機的に育っていくのを見守る代わりに、アイデアを押したり引っぱったり、輪郭を際だたせてみたり、自分の手で制御しようとすることだ。創造力に至るプロセスとは、自分をゆだねるプロセスであって、自分で制御するものではない。

 神秘の力は創造力の中核にあるものだ。神秘の力と、驚きも。世の中には、創造的になりたいという言葉を、生産的になりたいという意味で使っている人が多すぎる。なるほど、創造力を発揮すればたしかに生産的になる━━だが、それは創造力のプロセスを推し進めるのではなく、プロセスに連動した結果として起こることだ。

 わたしたちは〈創造力の水路〉であり、暗闇を信じなくてはならない。モーターをフル回転させて突っ走っていく小さな機械のようなまねをせずに、静かに考えることを学ぶ必要がある。そうやって〈モーニング・ページ〉にじっくりと取り組むのはとても恐ろしいことかもしれない。「こんなことをつづけたって、本物のアイデアなんて浮かんでくるもんか!」とやきもきしてくる。

 アイデアを孵化させるには、いろいろな点でパンを焼くことに似ている。アイデアはふくらませてあげなくてはならない。最初の段階でつつきすぎたり、何度も様子を確かめたりすると、絶対にふくらんでくれない。パンやケーキも長時間にわたってオーブンという安全な暗闇の中でじっとしていなくてはならない。オーブンを開けるのが早すぎるとパンが崩れてしまう━━ケーキの場合は真ん中に穴が開いてしまうが、それは蒸気が一気に噴出すことが原因だ。創造力には、敬意をこめておずおずと接する必要がある。

 これが最高のアイデアを育てるための方法だ。アイデアが暗闇と神秘の中で育っていくのを見守ろう。わたしたちの意識のてっぺんで形をつくっていくのを見守ろう。水滴となって〈モーニング・ページ〉にぽたりと垂れてくるのを見守ろう。ゆっくりと、でたらめとしか思えない間隔で落ちてくる滴りを信じることだ。そうすれば、目が眩んでしまうようなまぶしい光の中で「そうか! そういうことだったんだ!」と歓声をあげる日がやってくる。》

  じつに気の長い話です。ただ、この即席でないところに、「もしかしたらそうかも。ちょっと試してみよう」という気にさせられたのは確かです。

 著者は他にも、読者が悩むようなところで懇切丁寧な説明を入れ、このプログラムからはぐれていかないようにしています。
 
手元に置いて、ワークブックとして使える本だと思います。      
 なおし


             



           ※クリエイト速読スクールHP 


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