2008-10-05
なおしのお薦め本(71)『日本ぶらりぶらり』
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。今回も「オマケ」つきです。
『日本ぶらりぶらり』
山下 清著
癒しの書です。
ほかのどこにもない文章が数々あります。たとえばこんな。
「どうすると絵がうまくなるかというと、ほんものそっくりに描けば写真とおんなじだといわれるし、ほんものと違って描けばうその絵だといわれるので、景色を描くときはその特徴をあらわせばいいので、はじめて見る景色はなにが特徴なのかよくわからない時はよその人にこの景色はどこが特徴ですか聞くと、聞く人によっていろいろちがうので、よその人がこの景色は岩が特徴だといったので、岩を見物してからもう少し歩いてべつの人にこの景色はどこが特徴ですかと聞くと、大きな木がたくさん生えているのが特徴だといったので、木を見物してからもう少し歩いてべつのよその人にこの景色はどこが特徴ですかと聞くと、景色というものは全体に特徴があるもので、そのわけをいうと、たくさん見物にくる人がみんな自分の気にいったところを感心して帰るので、どうしても特徴を聞かせてくださいというと、まあ人がたくさん見物にくるのが特徴だというので、ぼくは自分のすきなところだけをおぼえていて、学園に帰ってから貼絵にするのです」
たまりません。読んでたのしい、声に出したい日本語だと思うのですが、どうにも最後まで息が続きませんでした。
なおし
■参考記事
※もりぞう爺さんの話(上)
オマケ
―なおしのメール―
松田さん、こんばんは。
久しぶりに山下清の本を読んだのですが、これがまた、オドロくほど面白いのです。
「声に出したい日本語」だと思ったので、山崎さんに読み聞かせたところ、笑う笑う。こちらも楽しくなって、かなりの量を音読してしまいました。
巧みな表現がある文章が素晴らしいのは確かです。でも巧みでない文章も、それはそれでいいものですね。月並みですが、こころ洗われる思いがしました。
それではまた。 小川
