2008-08-14
なおしのお薦め本(67)『命あるかぎり』
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。今回も「オマケ」つきです。
『命あるかぎり』
松本サリン事件の容疑者として、マスコミや世間から犯罪者扱いされた著者。オウムの地下鉄サリン事件が起こって、やっと疑惑は晴れました。それでも、サリンによる被害はそのまま、補償もほとんどありません。オウム真理教の実行犯、マスコミ、マスコミの発表を鵜呑みにして嫌がらせをしてきた人々。フツーだと、怒って当り前です。
それなのに怒らない。なぜか? 私には不可解でした。この本には、そんな疑問への答えが書かれているように思います。引用します。
「死はいつもすぐ隣にある。そう思い定めていると、なにが起こって不思議ではないという気持ちになる。私が、昔からものごとをありのままに受け止めていたのは、こうした考え方が身についているからだと思う。
だから、あの事件に遭遇したときも、さらには冤罪の渦中に巻き込まれたときも、私自身あまり動じなかったのは、これも自分の人生の一コマなのかと、ありのままに現実を受け止めたからにほかならない。こういうふうに一度、現実を受け止めて、ではどうするのか、いま自分としてなにをするのがベストの選択なのだろうかと考えていく。つまり、対症療法的に問題を解決してきたのである。
だから、人前で泣き叫んだこともなかったし、愚痴をこぼしたこともなかった。淡々と、いま起こっている現実と四つに取り組んできただけである」
‘対症療法’という言葉は悪い意味で使われがちです。けれどもここでは、ひとつひとつに地道に向き合う、という意味で使っているのですね。
引用はこれだけにしようと思っていましたが、もっと具体的なところを紹介した方が、河野さんを理解しやすいかもしれません。
「私は中学を卒業すると、定時制高校に進学した。両親に迷惑をかけず、自分で学費を稼ごうと思ったのだ。高校は義務教育ではないのだから、それが筋だとも思っていた。昼間働いていると、小遣いには困らない」
それからもうひとつ。
「私は、自分の生きる軸足は、いつも『いかに楽しく生きるか』に置いてきた。だから、勤め先もよく替えてきた。五~六年働くと顧客も安定し、仕事も楽にできるようになる。すると、仕事を替えたくなるのだ。
まったく違う業種で違う環境に身を置き、ドキドキ、ワクワク、これが私にとって楽しくて仕方がないのだ」
やっぱり変わっていますね。この日本では。
この本は、河野さんに少しでも興味を持った人にオススメです。
なおし
■参考記事
※もりぞう爺さんの話(上)
オマケ
―なおしのメール―
